米国農地バブルを検証する[上]--福島原発事故でバブルが加速? 背景にエタノール需要増や天然ガス探索ブームも

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米国の地質学者は数十年前から、米国国内の数カ所に膨大な天然ガスを埋蔵する地下シェール層があることを指摘していた。しかし、ほんの数年前までは、岩床からガスを取り出すのは経済的に合わない、と見られていた。

多少望みが出てきたのは、10年ほど前、テキサス州中北部のバーネット・シェールで独立系ガス生産会社が天然ガスの採取に成功したことだ。当時、初期の掘削業者が開発したのは“水圧破砕”という手法で、砂や化学物質が混ざった数百万ガロンという大量の水を地下に注入し、地下の岩床を破砕し、そこからガスを採取してパイプラインに送るというものだ。

こうした技術的ブレークスルーにより、米エネルギー省のエネルギー情報管理局(EIA)によると、天然ガス田から採取されるシェールガスの量は、昨年だけで倍増したと推定されている。

最新のEIA報告では、米国の天然ガス埋蔵量は全体で(在来型および非在来型を含めて)2552兆立方フィート(約72兆立方メートル)に上る。このうち、非在来型のシェールガスの埋蔵量は827兆cfで、天然ガス全体の3分の1に相当する。

米国の09年の天然ガス消費量で換算すると、その埋蔵量は約110年分になり、EIAによると、その数字は将来増える可能性があるという。(つづく)
(ピーター・エ二ス特約記者、ニューヨーク在住、翻訳:伊豆村房一 =東洋経済オンライン)photo:Valerie Everett Creative Commons BY-SA

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