岸田降ろしと参院選大敗を経て自民が野党転落も 自民党はリクルート事件以来の難局に直面

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首相は2023年、解散・総選挙に2度、意欲を示して不発に終わった。狙いは2024年9月の自民党総裁任期満了時の再選であった。「総裁選前の衆院選」で勝利を握れば総裁再選が確実に、という計算だったが、支持率低迷で踏み切れなかった。

内閣支持率は12月調査で朝日新聞23%、共同通信22.3%。時事通信17.1%と、自民党政権復帰後の最低率を更新中だ。記録的不人気に、裏金疑惑問題が重なった。

政権は八方ふさがりだが、首相自身はこの苦境を逆手に取って、「総裁選前の衆院選」を仕掛けなくても対抗馬不在で総裁再選は可能に、と踏んでいるかもしれない。「危機突破・政権再浮上」の決意を固め、起死回生の一手を模索しているように映る。

岸田流脱出策は、高株価に支えられた景気上昇、2024年度予算の成立による経済への好影響、それに2024年春の国賓待遇による訪米計画などを想定していると思われる。

官僚依存と派閥重視に傾斜か

一方で、自民党内の反岸田感情による「岸田降ろし」の動きの封じ込めと、伝統的自民党支持層の岸田離れ阻止が政権継続の必須条件という明確な認識があるのは疑いない。持論の「現実主義的対応」で、首相就任以来の「官僚依存」と、岸田派・麻生派・茂木派の党内主流3派を頼りにする「派閥重視」に、ますます傾斜すると見られる。

だが、それで対応が可能と判断しているとすれば、「首相失格」と国民から烙印を押されるだろう。現在の自民党はリクルート事件以来の大きな難局に直面している。

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