「長期投資の肝!」時代のど真ん中産業の見極め方 ターゲット業界を間違えれば成果は出ない

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このような他の繊維の台頭もあり、日本の主要産業である生糸はナイロンの登場と入れ替わるようにして、1934年以降は輸出額1位から陥落します。繊維の主役は、綿や化学繊維に取って代わられることになったのです。イノベーションが起こった結果、時代が大きく移り変わっていったわけです。

社会が「何かの出現」で変わるタイミングをつかむ

このように、何かが出現することで世の中がガラリと変わる経験を私たちもしてきています。まずは、インターネットの登場です。

とはいえ当時、人々のライフスタイルをひっくり返すほどのものになると、みんながみんな思っていたわけではないでしょう。インターネットにアクセスしやすくなったとはいっても、通信速度はそう速くもなかったですし、当初の認識としては事務作業が便利になったとか通信手段が増えたくらいに考えていた人が多かったと思います。

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ところが回線が整備され、つながりやすさが向上し、インターネットショッピングが便利だと多くの人が気づいたころから、インターネットは私たちの生活になくてはならないものになりました。ですから、インターネットの登場時点ではAmazonに投資するのが大正解だったわけです。

インターネットサイトの運営会社やパソコンを製造している会社ではなく、その登場によって世の中をどう変えるサービスが出現するか、その流れにいちばんうまく乗れるのはどの会社か、というところに目をつけることが必要なのです。

私はよく「風が吹けば桶屋が儲かる的な発想が大切」と言っているのですが、これがまさにそうです。Amazonは、世界中の人の買い物の仕方を変えたと言っても過言ではありません。それくらいインパクトのあるサービスを、インターネットを利用して提供し続けているということですね。

ただ、繰り返しになりますが、Amazonが出てきた段階で、ここまでインパクトを与えるものになるとは、おそらく多くの人は考えていませんでした。そこに気づいた人が、Amazonへの投資で利益を手にすることができたということです。

渡部 清二 複眼経済塾 塾長
わたなべ・せいじ / Seiji Watanabe

「会社四季報オンライン」でコラム「四季報読破邁進中」を連載。1967年生まれ。1990年筑波大学第三学群基礎工学類変換工学卒業後、野村證券入社。個人投資家向け資産コンサルティングに10年、機関投資家向け日本株セールスに12年携わる。野村證券在籍時より、『会社四季報』を1ページ目から最後のページまで読む「四季報読破」を開始。2014年の独立後も25年以上継続中で、2022年10月1日には四季報100冊読破。2014年四季リサーチ株式会社設立、2016年複眼経済塾設立。公益社団法人日本証券アナリスト協会検定会員、日本ファイナンシャル・プランナーズ協会認定AFP、国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト

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