暴飲暴食後の激痛、怖いのは肝臓より膵臓の病気 男性に多い「急性膵炎」、特に40~60代は注意

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飲酒量の増加により膵臓に急性の激しい炎症が起こる「急性膵炎」にご注意を(写真:ocsa/PIXTA)
これから迎える年末年始は、忘年会に納会、大晦日、お正月、新年会などで、飲酒の機会が増えがちだ。普段はお酒を控えめにしている人でも、「この時期くらいは」「せっかくの楽しい時間だから」と、つい飲み過ぎてしまうこともあるだろう。
そうして酒量が増えたときに心配になるのが、膵臓に急性の激しい炎症が起こる「急性膵炎(すいえん)」だ。
お酒というと肝臓に目が向きがちだが、膵臓にも多大な負担がかかることを知っておくべきだろう。そこで急性膵炎について、膵臓や胆道の病気に詳しい東北大学大学院医学系研究科教授の正宗淳さんに話を聞いた。

飲酒後に激しい腹痛・背中痛

急性膵炎の患者数は年間7万8000人ほど。女性よりも男性のほうが約2倍かかりやすく、男性は40〜60代、女性は60〜70代に多いのが特徴だ。

その症状は、お酒を飲んだり脂っこい食事を摂ったりした数時間後に突然、激しい腹痛から始まることが多い。胃腸炎の痛みと違って、冷や汗が出るほどの激痛だという。お酒を飲んだ後ということで夜中に発症し、夜間救急に駆け込むケースもあるそうだ。

「最初は胃腸薬や痛み止めの薬を飲んで様子を見る方もいますが、それで我慢できる痛みではないことがほとんどです。そのため多くの方が病院を受診し、急性膵炎と診断されれば、そのまま入院することになります」(正宗さん)

膵臓は胃の後ろ側にあるため、お腹だけでなく背中が痛いと感じることもある。「お腹の奥が痛い」と言う人もいる。

2016年、日本膵臓学会において正宗さんらは「急性膵炎の全国疫学調査 」を実施した。2016年に治療された3000例を詳しく解析したものだ。

その結果によると、急性膵炎の初期症状は腹痛が92.1%、嘔吐が27%、発熱が16.9%、背中痛が16.7%。正宗さんは「飲酒後にこうした症状が生じた場合は、速やかに消化器内科を受診してください」と助言する。

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