オイシックス髙島社長「シダックス」買収の真意 前回のTOBからわずか1年、子会社化に踏み切る

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――では今後、M&Aは控えめになる?

大規模なものは当面やらないと思う。ただ特にto Bに関しては、事業価値を高めていくための、いわば石と石の間を埋める小石のような機能的な分野への投資は継続していく。

シダックスのガバナンスはクリアできている

――引き続き創業家はシダックス株の34%を握り、勤一氏が社長を担います。昨年のTOBを巡る混乱は、創業家の利益相反問題が根底にありました。シダックスのガバナンスは改善したといえるのでしょうか。

ガバナンスの問題はクリアできていると思っている。というより、昨年の時点でその問題はなかったという認識だ。創業家のガバナンスの問題は過去にはあったのかもしれないが、そこはユニゾンさんが相当尽力し、好き勝手できない仕組みが作り上げられていた。

たかしま・こうへい/1973年生まれ。東京大学大学院修了後、98年にマッキンゼー・アンド・カンパニー日本支社に入社。2000年にオイシックス(現オイシックス・ラ・大地)を設立し、代表取締役社長に就任。23年1月からはシダックスの社外取締役も兼ねる。24年に子会社化後、シダックス代表取締役副社長に就任予定(撮影:今井康一)

ただそれとは別の問題があったのは事実だ。昨年は一時的に私たちのTOBの提案に反対意見が出されるなど、シダックスの取締役会が創業家とそれ以外のグループに分かれてしまっていた。現在の取締役会は一枚岩になっており、そういう意味でガバナンスは改善したと考えている。

――反対意見が出る環境こそガバナンスが利いているとも言えます。

それはその通り。多様性があることは大前提だ。一方で、多様性があっても意思決定ができないことをガバナンスだとは思わない。意思決定をすることまでが重要である。現状もシダックスの取締役会は多様な意見が担保されていると思っている。

――今回のスキーム開示後、証券会社がシダックスの株式を一時大量保有しました(その後売却)。株価もTOB価格をわずかに上回って推移しています。

ここは私も正直、疑問に思っている。この件では昨年以降、いろんなことが起きた。TOB終了まで油断はしていない。

冨永 望 東洋経済 記者

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とみなが のぞむ / Nozomu Tominaga

小売業界を担当。大学時代はゼミに入らず、地元密着型の居酒屋と食堂のアルバイトに精を出す。好きな物はパクチーと芋焼酎。

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