銀座の旗艦店にみる「グランドセイコー」の現在地 スイスブランドの高級時計店と同じ区画に出店

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グランドセイコーブティックは、並木通りのほかに中央通りと和光本店内にもあり、銀座だけで3つもある。中央通りの店舗は2019年に、和光本店内の店舗は2020年にオープンした。

銀座のど真ん中、約300メートル圏内に3店舗を配置しているが、それぞれ役割は異なっている。

グランドセイコー並木通り
銀座の並木通りにあるグランドセイコーのフラッグシップブティック(撮影:梅谷秀司)

人通りが多い中央通りの店舗は、ブランドロゴが多くの人の目に触れることによる宣伝効果が見込める。観光バスの発着地点に近いこともあり、訪日客の来店が多い。

和光本店内の店舗は、重厚感ある空間で高級専門店ならではの接客を提供している。来店頻度の高い和光の顧客にグランドセイコーを勧めることもできる。

並木通りの店舗は、複数の高級時計店を巡る一環で訪れることができ、時計好きやマニアの取り込みに適している。世界的に増えている若い富裕層を意識し、日本的な要素を取り入れながらも明るく現代的な空間になっている。

「並木通りはそれぞれのブランドがキャラクターを表現する場所。満を持してオープンしたこの場所で、グランドセイコーをアピールしていきたい」

グランドセイコーのブランディングを担当するセイコーウオッチ取締役の柴﨑宗久氏は、そう意気込む。

海外市場を見据えて別ブランド化

2017年、セイコーは大胆なブランド戦略を打ち出した。グランドセイコーの独立ブランド化だ。文字盤から「SEIKO」のロゴを外し、販売にはグランドセイコー専門のブティックを用意した。

グランドセイコーは国産最高級の時計として1960年に生まれたブランドだ。以来、実用的かつ精度、デザインともに最高のものを追求してきた。

現在のグランドセイコーの価格は50万~100万円が中心。伝統的なデザインのものからスポーツウォッチやドレスウォッチまで幅広く、モデル数は200を超える。

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