佐川急便「2年連続値上げ」への危機感とプライド 本村社長が訴える「価格転嫁が進まない」大問題

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――物流は効率化が課題と指摘されてきました。自社の物流の効率化に悩む企業も多くみられます。

宅配便の積載率は8割強だが、一般トラックの積載率は4割程度だ。顧客からは「物流を効率化できないか」「継続的に荷物を運べるような体制を作りたい」といった相談が寄せられている。

その対策の一つとして、近年はチャーター便の利用が増えている。大手小売りやドラッグストアからの依頼もある。佐川急便では1日1万台が走っており、主に輸送を担うのはパートナー企業だ。

もとむら・まさひで●1960年生まれ。1980年に東京佐川急便(現・佐川急便)入社。常務取締役、専務取締役を務めた後退社。タクシー会社「ANZEN Group」社長などを歴任。2018年佐川急便理事就任、2019年4月から現職(撮影:尾形文繁)

また、われわれは全国に500人の提案営業部隊がいる。依頼を受ければ東京でも北海道でも、海外でも、同じような品質でチャーター便から流通加工なども含めた物流ソリューションを構築できる。素早くできることも魅力だし、他社にはない強みだと思っている。

今では、競合メーカーでも一緒にセンターを構えて輸送する例もある。われわれから仕掛けるときも、相談をいただいて提案・受託する例もある。多くのメーカーが「いかに物流インフラを維持するか」というところに目を向けていると感じている。

仕事は本当にきつかった

――本村社長は1980年入社です。当時の待遇はどうでしたか?

300ページぐらいある分厚い就職情報雑誌をみて、その中でいちばん賃金の高い会社を選んだんです。その前の仕事のときに佐川急便のドライバーのお兄さんに話を聞いて「きついですよ」なんて言われていたけど、本当にきつかった(笑)。

初任給は高かった。平均的なサラリーマンと比べても賃金は高くて稼げたし、昇給も早かった。ただ、長く続かない人も多かったと思う。40年以上前なので世の中もバブルに近い。携帯もパソコンもない時代に、荷物が翌日着くというのはなかなかなかった。昔なので労働状況など問題はあったと思うが、そんな時代もありましたね。

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