大学授業料「無償化」の劇的効果と噴出する不満 授業料値上げはどれほど親たちを苦しめてきたか

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また、大学学費の家計負担は近年非常に重くなっています。下のグラフは平成以後の大学の授業料と民間企業の平均給与(月収換算)の推移です。大学の授業料は右肩上がりである反面、給与はほぼ右肩下がりか横ばい続きであることがわかります。国公立大学は2005年以降の授業料が据え置かれているものの、給与下落の動向がほとんど反映されない動きであることに変わりはありません。

親の給与が下がり、奨学金の依存度が高まる

給与が上がらないにもかかわらずこれだけ学費が値上がりすれば、当然ながら家計の負担は増します。次のグラフは1994年以降、大学生の収入に占める家庭からの給付額と奨学金収入の推移を見たものです。

家庭からの給付額(青色棒グラフ)は減少傾向にあります。この動きに反比例するかのように増えているのが奨学金(紫色)です。奨学金の受給率(大学生全体に占める奨学金利用者の割合、赤の折れ線)は1994年時点で21.4%でしたが、2020年には49.6%と2倍以上になっています。

現在の大学生のおよそ2人に1人は奨学金を利用しています。親の家計だけで子どもを大学に通わせることが、かつてに比べていかにハードルが高いことかが如実に表れています。

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