【産業天気図・精密機器】デジカメは最悪期脱出だが明暗くっきり。ますます際立つキヤノンの強さ

精密機器業界には堅実な社風の会社が多く、業績や財務状況は基本的に安定している。が、デジタル化の中で競争は激化の一途。一部では「勝ち」「負け」が鮮明化している。
 最も差がついているのがデジタルカメラ分野。デジカメはBRICs地域などで台数が拡大しているが、価格下落で市場の伸び率が鈍化。2004年後半にはメーカー間で過当競争が起こり、下位メーカー数社が大量在庫を抱えて損失計上に陥った。オリンパス<7733.東証>やペンタックス<7750.東証>、コニカミノルタホールディングス<4902.東証>は今年も販売低迷が続き、事業拡大から収益重視に戦略をシフトせざるを得なくなっている。
 一方、フィルムの一眼レフで圧倒的なブランド力を持つキヤノン<7751.東証>とニコン<7731.東証>は高成長を維持。デジカメのパイオニア的存在であるカシオ<6952.東証>も、薄型・長電池寿命などの市場トレンドを押さえ、成長と高収益を確保している。
 2006年初旬には松下電器産業<6752.東証>がオリンパスと組んでデジタル一眼レフ分野に進出する。カメラメーカーの独壇場で収益性も高い一眼レフ分野に家電メーカーが参入することで、価格競争が巻き起こる可能性もある。下位メーカーが大量の過剰在庫を抱えて収益が悪化した04年下期の最悪期こそ脱したものの、今後もデジカメの2極化は続きそうだ。
 もう一つの注目点は、オフィス向け複写機。複写機はキヤノンやリコー<7752.東証>、ゼロックスが「御三家」だが、複写機の複合機化やカラー化のトレンドに乗って、収益頭であるトナーカートリッジなどの消耗品が拡大。ソリューション販売も好調。来年も着実な成長を続けそうだ。
 カメラ、事務機の両分野で圧倒的な強さを誇るキヤノンは来年も安泰。06年からの新5カ年中期経営計画では売上高5.5兆円、純利益率10%を掲げる。来年からは薄型ディスプレーSEDでテレビ分野に進出するが、今後数年間、SEDの立ち上げ赤字を抱えつつも、収益成長を続ける見通しだ。御手洗富士夫社長の日本経団連会長就任も決まり、今後ますますキヤノンの強さが際立ちそうだ。
 その他ではHOYA<7741.東証>にも注目だ。HDD用ディスクと薄型ディスプレー用マスク等の好調で利益の伸びが著しい。来年以降も両分野が減速する予兆はまだなく、当面高成長が続きそうだ。
【吉川明日香記者】


(株)東洋経済新報社 電子メディア編集部

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