シニア層に「SNSマーケティングは不向き」の誤解 インフルエンサーマーケティングに伸びしろアリ

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現時点でシニア層がインフルエンサー経由で商品・サービスを認知する機会が少ないからといって、インフルエンサーマーケティングがシニア層に効きづらいとは言いきれません。40代以上をターゲットにしたインフルエンサーマーケティングはまだまだ伸びしろがある分野だと考えることもできるでしょう。

一方、若年層はSNSの利用率が高いにもかかわらず、SNSにおける企業からの広告、投稿が商品・サービスを認知する機会になっていない可能性も見えてきました。これは企業のSNSマーケティングにおける示唆が読み取れるのではないでしょうか。もし、現在の広告が若年層に十分響きづらくなっているとすれば、インフルエンサーによる情報発信の方法や要素を取り入れることが有効な可能性もあります。

ユーザーにとって広告の視聴が“推し活動”に

今年9月に行ったインテージのセミナーでは、生活者研究センターの田中宏昌所長が、「若年層にとっては広告を視聴することが、推しているインフルエンサーを収益面で支援する“推し活動”としても受け入れられている」と述べています。SNSを有効に活用することは、マーケティングコミュニケーションを行ううえで欠かせない要素となっています。

SNSの多様化にともない、ユーザーは時間帯によってテキスト、画像、動画のSNSを使い分けるようになっています。今回の調査によって、企業からのメッセージとインフルエンサーからのメッセージが共存するSNSの世界では、性別や年代によってどちらから影響を受けているかの違いが見られました。

メディアを使ったマーケティングコミュニケーションでは、ユーザーがどんなときに、どんな気持ちでSNSを利用しているのかを理解し、メッセージの内容を合わせることが重要です。データに基づいてユーザー理解を深めながら、マーケティングの担当者とともに実際の活用シーンや打ち手などを一緒に考えることがより大切になるでしょう。

本記事はインテージが運営する「知るギャラリー」を基に構成しています。
大貫 夏海 インテージ アナリスト

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2020年に大学卒業後、インテージへ入社。DMP「di-PiNK」を中心に様々なメディアログデータをもとに生活者理解やプロモーション、広告効果測定等のデジタルマーケティング領域の顧客支援、ソリューション開発に従事。

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山津 貴之 インテージ メディアアナリスト

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やまつ たかゆき / Takayuki Yamatsu

2014年に大学卒業後、インテージへ入社。2017年からスマートテレビ視聴ログを用いた商品である「Media Gauge」の新規事業開発を担当。データベースや調査設計等の基盤構築から、視聴データ分析による広告主や放送局等での活用支援まで幅広い領域に携わる。2021年からインテージグループR&Dセンターおよび在学中の筑波大学大学院ビジネス科学研究群で、スマートテレビでの放送とアプリの視聴実態について研究を開始。研究成果は学術雑誌”Journal of Broadcasting & Electronic Media”に掲載。

 

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