国家公務員給与削減を機に、人事院勧告制度を見直せ

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 だが、現状では国の一般会計に加え、多くの地方自治体でも財政は危機的状況にある。国家公務員やこうした自治体の地方公務員の給与は、自治体の財政悪化に連動して民間以上に下がってもおかしくない。そもそも民間企業の場合は、赤字が続いて存続の危機にあるような企業は、ドラスチックな給与削減が行われるのが普通だ。

公務員の場合も、勧告に基づいて給与を決めるのではなく、労使が交渉して決めるよう改めるべきだ。現行方式では、高収益で給与水準が相対的に高い企業も比較の対象となるため、特に地方公務員の場合、中堅以下の地元企業と比べて給与が高すぎるとの批判が絶えない。

自治体ごとに財政状態は千差万別なのだから、民間企業と同様、給与水準も財政状態に応じて自治体ごとにもっと差があっていいはずだ。

(シニアライター:柿沼茂喜 =週刊東洋経済2011年6月11日号)

※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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