【産業天気図・建設機械】資源国需要活況で大手は「上向き」景気を謳歌、中堅以下は部材調達難が懸念材料

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11年4月~11年9月 11年10月~12年3月

建設機械業界の景況感は、2012年3月まで一貫して、前年同期より活況な「上向き」が期待できそうだ。オーストラリア、インドネシアなど資源国からは引き合いが旺盛。先進国も更新需要が見込める。欧州・中国の景気後退と、震災による部材調達難が懸念材料だが、主要企業においては増益基調が続く公算だ。

日本建設機械工業会によると、4月の建機出荷金額は輸出向けも1113億円(同23.7%増)と16カ月連続の増加となった。また、国内向けも346億円(前年同月比23.0%増)と2カ月振りに増加に転じた。仕向け・機種別にみると、主軸の輸出向け油圧ショベルは9.8%増と堅調程度だが、同道路機械(79.9%増)、同部品(54.2%増)が高い伸びを示している。足元の市場環境は好調だ。

この環境の中、国内最大手・コマツの12年3月期業績計画は、売上高2兆1500億円(16.6%増)、営業利益3050億円(36.8%増)と前期に引き続き高い伸びが見込めそうだ。中型の油圧ショベルを軸とする中国向けの売上高は前期の36.7%増から13.7%増に減速するが、資源国向けの鉱山機械は前期並みの25%増が見込まれている。コマツは産業機械を含む全社粗利率が3割弱と、国内製造業では高い収益力を誇っているが、その中でもこの鉱山機械は4割程度の粗利率を持つ。大型の鉱山機械は本体販売後の保守サービス額も大きく、建機市場では「ドル箱」分野だ。この分野で米キャタピラーと並ぶシェア4割を持つコマツにとって、今期は資源国の下支えがある限り安泰といった感だ。

国内2位の日立建機も今期は売上高16.3%増、営業利益56.6%増を見込んでいる。コマツやコベルコ建機にやや出遅れていた中国で売上高27%増を目指すほか、インドネシア等アジアでも19%の伸びを想定している。

日立建機は東日本大震災で茨城県の自社工場が被災したほか、エンジンメーカーなどの被災で部材供給元にもマイナス影響が出た。だがこういった影響による生産停滞は5月上旬で解消できており、通期では大幅な打撃とならないと期待できる。

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