初心者に教えたい「新NISA」でやったらダメなこと せっかく分散投資をしても意味がなくなる

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このように、資産クラス分散を自分で行おうとすると、結構な手間がかかるのです。

でも、複数の資産クラスに分散投資する「バランス型投資信託」を購入すれば、この手の面倒な手間はすべてプロのファンドマネジャーが行ってくれます。特に初めて投資信託を購入する人は、まずバランス型投資信託を1本選んで、それに毎月一定金額で積立投資していくことをお勧めします。

バランス型投信を選ぶ際の注意点

ただ、バランス型投資信託を選ぶにあたっては、ひとつだけ注意点があります。それは、国別の組入比率です。

バランス型ファンドでよく見られるポートフォリオに、「国内株式」「国内債券」「海外株式」「海外債券」という4つの資産クラスに4分の1ずつ投資するというタイプがあります。何となく理に適っているように思えるのですが、実はこれは、適切な分散投資とはいえません。なぜなら、国内株式と国内債券でポートフォリオ全体の50%を占めているからです。

日本市場への投資が半分にも達しているポートフォリオは、適切な国際分散投資が行えているとはいえません。バランス型投資信託を購入する時は、まず国別の投資比率で、日本の比率が過度に高くないかどうかをチェックする必要があります。

なぜ、日本への投資比率が50%ではいけないのかというと、これでは世界の株式・債券市場の動向を正確に反映しているとはいえないからです。

2023年3月時点における世界45カ国の株式市場の時価総額を比較すると、国別のシェアでアメリカが占める比率は59.6%です。そして、日本はわずか6.3%に過ぎません。

といっても、日本の株式市場の時価総額が45カ国全体に占める割合は、世界2位の規模を持っています。以下、イギリスが4.1%、中国が3.7%、フランスが3.1%、カナダが2.6%、スイスが2.5%、ドイツが2.2%となっています。それ以外は新興国と考えていいでしょう(myINDEXによる)。

アメリカが59.6%で、日本が6.3%ということは、シェアで見ると、アメリカの株式市場は日本の9倍強もあります。そうであるにもかかわらず、バランス型投資信託の国別組入比率で、日本の比率が単独で50%も占めているのは、いささかおかしいと思うのです。それでは、世界の資本市場を正確に反映したポートフォリオとは、到底いえません。

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