宇都宮LRT「マイカーと対立でなく共存」の好事例 人口減・高齢化社会の"足"確保は喫緊の課題だ

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LRT開業後にも2度、ホンダの研究施設に行く機会があった。初回は週末だったので渋滞回避で公共交通を選び、2度目は平日だったのでマイカーで行った。

週末に公共交通を選んだのは正解で、当方の所要時間が約3時間だったのに対し、クルマで来た編集者は4時間以上かかったという。ところが約2時間で着くはずの平日のマイカー移動も、行きは約3時間を要した。首都高速道路で大渋滞に巻き込まれたためだ。

宇都宮大学陽東キャンパス停留場付近
宇都宮大学陽東キャンパス停留場近くの交差点(筆者撮影)

移動コストは、東京―宇都宮間で新幹線を使うと、高速道路を使ったマイカー移動より少し高くなるが、在来線を使えば大幅に安くなる。マイカーで高速道路を使わなければ、さらに出費が抑えられるものの、時間がかかるうえに不正確で、信号待ちなどがあるので燃料代は高速道路よりかかる。

公共交通のメリットは多い

しかも公共交通は、移動中に食事、睡眠、読書、仕事などが可能。いわゆるマルチタスクである。マイカーの自動運転が実現するのは、現状から判断すればしばらく先のことなので、この点でも公共交通に軍配が上がる。

それでも自分を含めた多くの人が、多大な出費をしてマイカーを手に入れるのはなぜか。いつでもどこでも気ままに動けることが大きいと思っている。

通勤や通学であれば時間が決まっているので、定時性に優れる公共交通がふさわしいが、買い物やレジャーは自由に楽しみたいものであり、荷物も多くなるので、マイカーが向いている。

しかもマイカーにはドアツードアという利点もある。乗り換えは不要だし、駅や停留所から自宅や目的地まで歩いたりする必要もない。地方都市であれば、無料駐車場完備という施設も多いので、移動コストも安く済む。

でも自分で運転することが好きという人は、そんなに多くはないはず。公共交通があれば、そちらを使うという人もいるだろう。宇都宮市や芳賀町ではその動きが現れている。

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