リーダーになれる人が「社長と会う時」している事 遠くから見守る?それとも進んで質問する?

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さて、食事会の当日。Yさんは緊張して社長室へ。

内心は「社長から何か質問されたらどうしよう」と、ドキドキしていました。しかし、Yさんの心配はまったくの杞憂に終わりました。

昼食会がスタートすると、Yさんの1年先輩の一般社員の1人が立て続けに社長に質問をぶつけ始めたのです。結局、食事時間の大半は、その先輩社員と社長の会話に費やされました。

最後は、社長が「もう時間だから、この続きは今度日を改めてやろう」と、その先輩社員に告げて、食事会はお開きとなったのでした。

直接話せるチャンスを活かせるか

現在はその会社を退職し、フリーランスとして活動しているYさんは、当時を振り返ってこう言っています。

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「あのころは、その先輩に対して、『たった1年先輩というだけなのに、よく、社長と面と向かって仕事について議論ができるな』って感心しましたし、社長はよく入社2年目の社員の意見を真剣に聞くなって思っていました。でも今、自分が独立して個人事業主になるとよくわかります。

先輩はその当時から経営者の目線を持っていて、昼食会を『社長と直接、話せる大チャンス』だと思って攻めにいった。そして社長は社長で、現場の生の声を聞くことがありがたかったでしょうし、堂々と疑問をぶつけてくるその先輩のことを『コイツ、若いのになかなかデキるな』と思ったはず。

今になって、双方の気持ちがよくわかるようになりました」

社長との食事会というと、おそらく大多数の一般社員にとっては、どうしても億劫に感じてしまうものでしょう。それを「チャンス」と考えられるかどうかが大きな分かれ目です。

ここでは、社長と議論をしなさいといった、いわゆる方法論をいっているのではありません。

わからないことを周りの人に聞いたり、仕事上の悩みを上司に相談したり、会社の制度への疑問点を自ら確認するといった視点の持ち方についてお伝えしています。そんな発想ができる人が、リーダーになれる人です。

林 健太郎 リーダー育成家 合同会社ナンバーツー エグゼクティブ・コーチ

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はやし けんたろう / Kentaro Hayashi

一般社団法人 国際コーチ連盟日本支部(当時)創設者。1973年、東京都生まれ。バンダイなどに勤務後、エグゼクティブ・コーチングの草分け的存在であるアンソニー・クルカス氏と出会い、プロコーチを目指して海外修行に出る。2010年にコーチとして独立。日本を代表する大手企業などで、のべ650人を超えるビジネスリーダーに対してコーチングを実施。『コーチング忍者の2分コーチング入門講座』を運営。著書に『できる上司は会話が9割』(三笠書房)。

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