旧ジャニーズ、11月に待ち受ける2つの"超難問" 新会社が抱える「カネ・ヒト・ルール」の壁

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SMILE-UP.社の組織図(出所:SMILE-UP.社公式サイトより)

当然、芸能マネジメントの仕事を行ううえでは、運転資金も必要になる。10月2日の会見時、新会社の資本は「就任する役員と従業員と構成する予定」(東山社長)とされていたが、それだけでは十分でない可能性がある。もし旧ジャニーズ関係者で資本関係が固められることになれば、取引先が難色を示すだろうし、そもそもそれで金額が足りるのかという疑問もある。こうしたことから、新会社の設立にあたっては外部から資本を受け入れるといった形で資金調達をすることが必要になるかもしれない。

②の人の問題については、何よりも経営者の問題がある。現状では、社長は東山氏がSMILE-UP.社と社長を兼任、副社長は現ジャニーズアイランド社社長の井ノ原氏が務めることになっている。担い手不足もあるのだろうが、資本と同様、経営者も旧ジャニーズ事務所から切り離すのが好ましい。SMILE-UP.社と新会社の経営者は別の人にするのが自然で、できれば外部から招聘することを考えるべきだろう。

続いて、タレントの問題がある。現時点では、契約条件について十分に説明を受けられていないタレントが多いようだ。2回目の記者会見と同時に岡田准一氏の退所表明があったが、将来の不安が払拭できなければ、タレントの新会社への移籍、契約も順調に進まない可能性がある。社員についても、旧ジャニーズ事務所からの移籍を認めるとされているが、タレントと同様の問題が起きる可能性がある。

③のルールの問題は、②の人の問題とも関わるが、タレントとの契約条件をしっかり決める必要がある。契約形態は、これまで行ってきたマネジメント契約以外に、エージェント契約も導入すると表明されている。どの条件下でどちらの契約形態をとるのか、それぞれの契約条件をどう定めていくかを詰める必要がある。

エージェント契約を行うタレントについては、ファンクラブや知的財産権を新会社かタレント側か、どちらに移管するのかを決め、またその際の利益配分についても検討する必要がある。

その先には、広告主(スポンサー)企業やメディアとの契約条件も詰めていかなければならない。

これらのことを進めるうえでは、法律や税金の専門的な知識も問われる。外部の専門家を起用するにしても、意思決定は現経営陣が行う必要がある。

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