経済衰退・少子化「非正規雇用が元凶」という俗説 増えた非正規はほぼ「45歳以上の女性と高齢者」

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実際のデータを見ると、1988年以降、非正規雇用者の数が増加しているのは、主に45歳以上の女性と65歳以上の男性に限られているのが確認できます。

年齢別の非正規雇用者率を見てみると、男性の場合、15~24歳が47.1%、25~34歳が14.4%、35~44歳が9.0%、45~54歳が8.2%、55~64歳が26.5%、65歳以上が76.6%となっています。

結婚適齢期の男性は大半が正規雇用

一般的に結婚適齢期は28~35歳とされているのですが、この年代層の男性の非正規雇用率は決して高くありません。さらに、2015年ごろから、25~54歳の非正規雇用者の比率は減少しており、2020年時点で25~54歳の正規雇用率は89.7%でした。

確かに出生率は下がっている。確かに非正規は増えている。確かに、非正規の男性は結婚しない。しかし、結婚適齢期の男性においては、非正規雇用は増えていないし、多くもないのです。「非正規雇用の男性は結婚しにくく、それが出生率が下がる主な原因になっている」という主張は、日本によくある「合成の誤謬」にすぎません。

次ページそもそも、非正規拡大のはるか前から少子化は起きていた
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