今のやり方を続けると、ワタミの浮上はない 「大量閉鎖85店上乗せ」を招いた真因

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久しぶりに“再会”してみると、かつてのときめきはすっかり失われていた――。そんな気分になった。

5月中旬、東京都内の某繁華街に構える「和民」を訪れた。言わずと知れた居酒屋チェーンの最大手ワタミが運営する主力業態である。筆者が和民で飲食をしたのはほぼ10年ぶりだ。1時間半ほどの短い滞在ながら細かく観察・分析してみると、ワタミのほか「わたみん家」「坐・和民」などを運営するワタミの不振を読み解くヒントがいくつか見受けられた。

2年で店舗数は3割減、自己資本も大幅毀損

ワタミは5月中旬、今年度(2016年3月期)に不採算の85店舗を新たに閉鎖することを柱にしたリストラ策を発表した。102店の大量閉鎖を表明したのが昨年11月。それからわずか半年。今回の85店閉鎖はそれとは別にほぼ上乗せする数字で、店舗数は今年度末に475店程度となる見込み。2年で一気に3割近く減らす計算だ。

前年度(2015年3月期)決算は、売上高1553億円(前期比4.8%減)に対し、本業の儲けを示す営業損益は20億円の赤字(前期は29億円の営業黒字)となり、1986年の創業以来、初の営業赤字に転落した。減損を中心にした巨額の特別損失が響き、純損失は126億円(前期は39億円の純損失)となり、今年3月末自己資本比率は7.4%(前年同期は17.5%)まで下落した。

要因は言うまでもない。本業である国内外食部門、つまり居酒屋事業の大苦戦である。宅食(宅配)や介護部門は減益ながら黒字を保っているものの、国内外食部門で見ると売上高は602億円と前期から約14%落とし、セグメント損失は36億円。前々年度(2014年3月期)も同19億円のセグメント損失だったが、さらに赤字幅が広がった。

ワタミは2014年1月にメニューの半分を刷新。3月には追加施策として単品価格の見直しで、生ビールやお通しの価格を下げてお値打ち感を打ち出したが、不発に終わった。今年度さらに店舗を追加リストラするということは、前期の大量閉鎖でも事態を打開できず、まったく浮上できなかったということになる。

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