「国語が得意だと人に優しくできる」意外な理由 国語の勉強をしたら、他人に優しくなれる?

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人を理解するというのは、「優しさ」を学んでいることにほかなりません。遅刻してきた友達に「どうして遅刻してきたんだ!」と怒るのではなく、「彼のようなとても時間に厳格な人物が遅刻してきたということは、余程のことがあったに違いない」と解釈することができると、「どうかしたの?君が遅刻してくるなんて、何かあったんだろ?」と優しく声をかけることができるかもしれません。

古文を読むことで解釈の力を鍛える

さて、このような「解釈」の力を鍛えるためにかなりプラスになるのが、「古文を読む」という行為です。というのも、古文は現代の多くの小説とは違って、何度も何度も読むことを前提にして、多様な解釈を歓迎する書き方をしているからです。

たとえば、枕草子の最初の一節は、こうなっていますね。

「春は あけぼの やうやう しろく なりゆく やまぎは 少し明かりて……」

さて、多くの人が知っていると思うこの一節ですが、ここでみなさんに一つ質問です。

どちらの解釈のほうが正しいと思いますか?

① 「春はあけぼの。やうやう白くなりゆく。やまぎは少し明かりて、~」

② 「春はあけぼの。やうやう白くなりゆくやまぎは、少し明かりて、~」

これ、どちらが正しいかはわかりません。①では「(空が)だんだん白くなっていく。そして山際は少し明るくて、」となっていますが、②では「だんだん白くなっていく」のは「やまぎは」にかかるので「山際がだんだん白くなって、少し明るくなって、」という解釈になります。

ですが、古文では「、」「。」がついていないので、どちらの可能性もあります。

明るくなっているのが空なのか山際なのか、「、」「。」の置き所が違うだけで全然違ってきますが、その「解釈の違い」を楽しむのが古文です。

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