「国語が得意だと人に優しくできる」意外な理由 国語の勉強をしたら、他人に優しくなれる?

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私は2人がそれぞれどうしてそう感じたのかを聞いてみました。すると、BくんがAくんのことを遊びに誘うために強めに肩を叩いたのだということがわかりました。

Bくんからしたら遊びのための行為だったわけですが、Aくんはそれが嫌いで、からかわれているように感じたのだそうです。

この場合、「肩を強めに叩く」という行為に対して、Aくんの解釈が「からかう」で、Bくんの解釈が「遊ぶ」だったわけですね。

この話から皆さんに伝えたいことは、「事実」と「解釈」は違う、ということです。

仮に雨が降っていたとして、その雨を嫌がってどんよりした気持ちになる人もいれば、雨が好きで気分が晴れやかになる人もいるでしょう。

事実として雨が降っていても、その雨を悲しいものと捉えることもできれば、嬉しいものと解釈することもできるわけです。1つの事実に対して、解釈は多様だということですね。

さまざまな解釈ができる人が優しい人


優しい人というのは、事実と解釈を切り分けることができ、そしてさまざまな解釈ができる人です。

「肩を強めに叩いた」のは事実だとしても、「BくんがAくんをからかおうとして肩を叩いた」というのは勝手な解釈でしかありません。

AくんもBくんも、事実と解釈が混ざってしまっているから、お互いがお互いに優しくできず、喧嘩になってしまったわけです。
国語という科目は、事実と解釈を切り分ける訓練と、多様な解釈を知る訓練をする科目です。

例えば国語では、「Aさんはお母さんに対して謝った」に線が引かれて、「Aさんのこの時の気持ちを選択肢から選びなさい。①お母さんに対して申し訳ない気持ち ②お母さんに対して怒る気持ち ③自分の行動を後悔する気持ち」というように、事実に線が引かれてその解釈を、与えられた文章から考えていくという問題が多いですね。

先ほどのAくんとBくんの事件も、同じです。「肩を強めに叩いた」という事実に線が引かれて、「Bくんのこの時の気持ちを選択肢から選びなさい。①馬鹿にする気持ち ②遊ぶ気持ち」という問題が出題されているのとまったく同じことです。

そしてこの解釈を鍛えるために、国語では、相手の立場・文化を理解し、相手の心情を想像することが求められます。

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