江ノ電の「日本一有名な踏切」を作った会社の素顔 鉄道・道路向け機器が主力、日本信号の工場内部

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現在、鉄道の新線は道路と立体交差するように建設するのが原則で、踏切を新たに設置することはできないことになっている。が、古くなった既存設備の更新や、列車の接近を知らせる装置がない第4種踏切に遮断機・警報機を付けて第1種に格上げする場合など、機器には一定の需要があるという。

日本信号上尾工場 工場長と課長
日本信号上尾工場の岡見毅彦工場長(左)と花田安史課長(記者撮影)

また、鉄道信号に用いるリレー(継電器)についても上尾工場で製造している。「とくに神経を使う職場なので作業している人にはあまり近づかないようにしている」と話すのは同工場管理グループの花田安史課長。「私が入社した何十年も前に『リレーはいずれなくなる』と言われたが、いまだに使われ続けている。仮に壊れたときにも確実に安全側になる、という長年の信頼があるのだろう」と語る。

交通信号も進歩する

歩行者と自動車、自動車同士の事故を防ぐのに欠かせない道路の交通信号の技術も日進月歩。いまやLEDの灯器はめずらしくなくなったが、開発の成果は頭上ばかりでなく、歩行者の手元にもある。「高度化PICS」と呼ぶ歩行者支援システムを整備した交差点では、スマートフォンのアプリの画面上で歩行者用押しボタンを操作することができる。

視覚障害者や高齢者の利用を想定する。ブルートゥースで通信し、交差点に近づくと音声や振動で知らせ、「青になりました」「信号が変わります」などと教えてくれる。鉄道駅構内での改札やトイレ、エレベーターへの誘導のほか、乗降支援などへの展開を視野に入れる。スマートモビリティ事業部ITS営業部の小野塚雅博さんは「ホーム上の転落防止や、踏切の安全対策にも役立てたい」と強調する。

日本信号 信号の歩行者ボタンを押せるアプリ
信号の歩行者ボタンをスマホ画面上で押すことができるアプリ(記者撮影)
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