IMFトップの逮捕、債務問題解消に波乱も

欧州の経済界に大きな衝撃が走った。国際通貨基金(IMF)のトップ、ドミニク・ストロスカーン専務理事が、米ニューヨーク市内の高級ホテルで女性従業員に性的暴行を加えた疑いで逮捕され、辞任を申し出た。「陰謀説」も取りざたされる中、同容疑者は無罪を主張。だが不測の事態を受けて、ギリシャなど欧州の債務問題や、来春のフランス大統領選挙の行方が混沌としてきた。

フランス出身のストロスカーン容疑者は、経済学者と社会党の政治家という二つの顔を持ち、同国財務相を務めた経験もある。2007年11月にはIMF専務理事に就任。ギリシャ、ポルトガルの救済策取りまとめに手腕を発揮し、一気に名声を高めた。中島厚志・経済産業研究所理事長は「債務問題処理に尽力した立役者」と評する。

特にギリシャ危機では同国の支援要請に対し迅速に対応。欧州連合(EU)とIMFが1100億ユーロを協調融資する枠組みづくりに貢献した。

それまでIMFは、金融支援にはまず厳しい融資条件を求める、「ハードランディング一辺倒」(中島氏)だった。その強硬路線をストロスカーン容疑者は軌道修正。「IMFの役割は“憲兵”から“医者”に変わった、と彼は語っていた」(フランス日刊紙)。柔軟路線を志向したのは「市場との対話」を重視したからだろう。ソフトランディングで通貨ユーロの信認を維持したい思惑も垣間見えた。

仏大統領選も一挙に混沌

ギリシャ危機をめぐっては目下、債務再編の可能性が浮上している。ドイツが返済繰り延べを支持する一方、フランスは反対。追加支援のカギを握る両大国の姿勢は対照的だ。ストロスカーン容疑者はドイツのメルケル首相との関係も良好とされていた。「調整役不在で難局を乗り切ることができるのか」。市場にはユーロ不安がくすぶる。

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