北陸新幹線「敦賀延伸」開業準備どこまで進んだか 運行計画概要が発表され、試運転も始まった

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また、段階的にはトンネルや橋梁・高架橋などの大規模構造物の目視確認や打音検査を行う「事前監査・検査」に始まり、手直しや追加処置をした後、地上設備全般を対象に「地上監査・検査」がある。それから実車を使用した「総合監査・検査」に進む。

2023年8月22日の「監査・検査」公開時点の福井駅。時刻表などを除いて営業上の表示類も整い開業の近さを示す(写真:鶴 通孝)

今般の敦賀延伸工事において、最初の監査・検査に入ったのは電車線部門で今年4月26日。各設備に通電しないと物事は始まらないから電気がトップを切る。6月12日から対象が拡げられ、大規模構造物についてもここに開始された。そして8月21日から地上検査・監査に入った。総合監査・検査は9月22日からとされ、翌23日にJR東日本の新幹線総合試験車「East-i」を使った試運転が計画される。これが新幹線電車の初走行となる。

22日深夜、営業区間の運転が終了するのを待って未明に白山総合車両所を出発、金沢駅に向かい、折り返して敦賀の車両基地まで。速度は駅構内を時速30km、駅間を時速45kmとする。East-iで全線の入線確認が完了すると、26日から営業用電車W7系での試験が開始される。初日は最高速度を時速110kmに抑え、以後、営業最高速度の時速260kmまで引き上げてゆく。12月9日までを予定する。

国の完成検査を受けて訓練運転へ

全機能が正しく作動するかのコントロールランで支障がないと確認されると、鉄道施設の管理はJRTTからJR西日本に引き継がれる。

『鉄道ジャーナル』2023年11月号(9月21日発売)。特集は「地方私鉄の奮闘」。書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします

そしてこの段階に至ってJR西日本は、鉄道事業法に則って事業を営んでゆくために、国土交通省の「完成検査」を受ける。ちなみに、ここで検査対象とされるのは、「工事によって作られた地上設備」であり車両は含まないが、そちらについては省令に基づく「車両確認」が必要となる。

また、営業するには組織や制度も整っていなければならないので、国土交通省は営業体制や制度の監査も行う。これらが事業主体による「監査・検査」とは別の、国による「検査・監査」であり、その合格を経て開業が可能になる。以後は開業まで訓練運転が続けられる。

鉄道ジャーナル編集部

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車両を中心とする伝統的な鉄道趣味の分野を基本にしながら、鉄道のシステム、輸送の実態、その将来像まで、幅広く目を向ける総合的な鉄道情報誌。創刊は1967年。

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