北陸新幹線「敦賀延伸」開業準備どこまで進んだか 運行計画概要が発表され、試運転も始まった

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また、敦賀―金沢間の在来線はJR西日本から分離されるため、この間の特急は全廃となる。その結果、大阪―敦賀間「サンダーバード」25往復、「しらさぎ」は名古屋―敦賀間8往復と米原―敦賀間7往復が引き続き運転され、そのほか七尾線を走る金沢―和倉温泉間「能登かがり火」が5往復となる。

並行在来線分離の結果としてほかのJR在来線とつながらなくなった支線はいくつかあるが、七尾線もその例に加わる。そこに、三セク会社の駅(金沢)を起点にJR特急が走るのは初のケースだ。

金沢駅から約11kmの北陸本線松任駅西側が白山総合車両所に出入りする分岐地点。ここから福井方面が今回の建設区間で敦賀の工事終点まで約115km(写真:久保田 敦)

工事区間でいよいよ実車走行、線路の監査・検査とは

北陸新幹線金沢―敦賀間の建設工事は、今年5月27日、大きなエポックとして芦原温泉駅でレール締結式が行われた。とは言え、その時点から新幹線電車が走れるわけではない。本線のレールは2022年10月に敦賀駅付近で敷設を終え、設定替え(レールを適切な温度の状態で最終的に締結する)の作業も今年2月に完了している。だがさらに、レール面の正整作業は、儀式としてのレール締結式を挟んで続けられた。また軌道だけでは列車は走ることはできず、変電所や配電所・配電線関係を今年3〜4月に、続いて電車線(架線)関係の工事を7月末に完成させた。さらに通信線や電灯電力の工事は9月末まで続くスケジュールである。

これらの工事がそれぞれ完成すると、「監査・検査」が実施される。整備主体である鉄道・運輸機構(JRTT)による「工事しゅん工監査」と、運営主体のJR西日本による「設備検査」を合わせて「監査・検査」と略している。具体的には出来栄えを確認する「外観検査」、設計図書や施工記録類を確認する「書類検査」、設備が機能的に適正であるかを確認する「機能試験」、営業に使用する車両を用いた「走行試験」があり、対象は用地・路盤・停工・軌道・機械・建築・電気・運転・営業の9部門に分かれる。

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