子育ては「よい母親」より「幸せな母親」を目指す 12人を産み育てた助産師が辿り着いた境地

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実は私、3人目ぐらいまでは、「ママ友づき合いはママとしての義務」と信じ、ママ友をいっぱいつくろうと必死でした。わが家は、常識からちょっとはみ出した人数の子がいるので、積極的にママ友つながりを大切にして、「私は変な人ではありませんよ~」というアピールをしたんですね。

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でも、発達障害のある7人目の子で、「理解してもらいにくい子どもを育てているママ」というバージョンを初めて経験。彼女に向き合うだけでも大変なのに、さらにママ友づき合いにまでエネルギーを消費するのは無理、と気づいたのでした。

現在の私は、LINE がつながっているママ友は3人ぐらい。よく「小学校になったらいろいろ聞けるママ友がいたほうがいい」とも言われますが、質問があったら学校に聞けばいいのです。ママ友より、担任の先生と仲よくなったほうが便利ではないですか?(笑)

責任感の強い真面目な人ほど、「子どものために」とがんばりすぎてしまいます。でも、ママ友はあくまで子どもを介した存在であり、学生時代の友達とは異なります。みんなわが子がいちばん大切だからこそ、トラブルも起こりがち。

私もある日突然無視されるなど、傷つく経験もしました。ママ友づき合いフリーの今はとにかく快適。参観日や行事のときは、明るく挨拶しておけばオールオッケー! わが子がよくお邪魔するお宅の保護者に「いつもお世話になってます」ぐらい伝えるのはマナーかな。何かあったときに声をかけ合ったり、助け合えたりするママ友はほんの一握りで十分です。

母親たちはみんな追い詰められている

私はこれまで12人の子育てを通して、離婚や再婚、子どもの壮絶な反抗期、障害児育児など波乱万丈、山あり谷ありのジェットコースターのような人生を経験してきました。「こんな私の経験が、誰かの役に立つのなら」という思いで、沖縄の離島から情報発信をしています。講演会やオンラインで、私の顔を見るなり泣き出す人もいて、「日本の育児はそんなにつらいのか、ママたちはそこまで追い込まれているのか」と、正直、絶望することもあります。

そんなママたちを「1人でも多く救いたい」というのが、今の私の原動力です。親も子もみんなが笑っていられる世の中になりますように。これからも全力で応援していきます。

助産師HISAKO 助産師

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じょさんし ひさこ / josanshi Hisako

1974年生まれ。看護師・助産師資格取得後、総合病院、産婦人科クリニック勤務を経て2006年大阪市阿倍野に「助産院ばぶばぶ」開設。同院での母乳育児支援・育児相談を中心に、大阪市育児支援訪問・妊婦教室を15年にわたり担当。政府や自治体依頼による講演活動や、日本全国の幼小中高校、大学、各発達段階に合わせた教育現場における出張授業「いのちの授業(性教育授業)」を展開。プライベートでは1998年から2020年の間に12児を出産。2020年沖縄県うるま市に移住、助産院移転。YouTube『【12人産んだ】助産師HISAKOの子育てチャンネル』を配信中

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