育児がこうもしんどい理由は「不安」を抱えるから 育児は「逃げる」選択肢がほぼないという現実

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自分には関係無いと思っていても、「誰もが毒親になる可能性がある」といいます(写真:foly/PIXTA)
「毒親」という言葉をよく聞くようになりました。「毒親」とは、子どもの毒になる親のこと。言葉や暴力で子どもを支配するため、子はつねに自分を否定され、自分らしい人生を生きるのが難しくなります。自分には関係無いと思っていても、「誰もが毒親になる可能性がある」と言うのは、精神科医の井上智介さん。それはいったいなぜなのでしょうか。井上氏の新著『子育てで毒親になりそうなとき読んでほしい本』を一部抜粋し再構成のうえその理由を探ります。

「育児の不安」と「ほかの不安」の違い

「私は毒親じゃないよ」と思っている親御さんは多いです。しかし、気がついていないだけで、意外に危険なかかわり方はたくさんあります。なぜなら、多くの親が育児に対して大きな「不安」を抱えているからです。

自分の育児の不安にうまく対処できず、毒親的なふるまいになってしまいます。育児の不安がスタートだからこそ、誰もが毒親になる可能性があるのです。

育児の不安とほかの不安との違いは、自分の責任が非常に大きいことです。つまり逃げ出せないことです。仕事なら最終的に辞めるなど、何かしら逃げる道が用意されていますが、育児に関しては、そもそも逃げるという選択肢が、ほぼない状態なのです。

そのうえ親なら育児ができてあたりまえ、弱音を吐くこと自体NGという風潮すらありますから、そのプレッシャーというのは、計り知れないものがあります。

また、仕事なら手伝ってくれる人がいますが、育児は手伝ってくれる人が、かなり少ないです。パートナーか、親族くらいしかいないことが多いです。しかも近くにいなければ絶望的です。そうなってくると、自分にのしかかる責任感やプレッシャーは一段と大きくなります。

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