植田総裁発言で揺れる金利と為替、真意はどこに 8月の転換、「年内マイナス金利解除」はあるか

拡大
縮小

なお、今回、植田総裁が就任後初の単独インタビューを受けた経緯について政府・財務省との連携をいぶかしがる向きもあるが、そこまで深く考える必要はないように思う。

そもそも総合ベースの消費者物価指数(CPI)に関し、日本はアメリカを超えている。もちろん一時的な動きなのかもしれないが、そうではない可能性も払拭できない。円安がその一因だとしたら、日銀が物価安定の観点から「円安の抑止」を所望するのは自然である。

円の対ドル相場が昨年来の安値である152円を視野に捉える中、その抑止を企図して発言に踏み切った可能性はある。

Q4:「次の一手」に関するメインシナリオは?

マイナス金利解除は早くて2024年1月

すでに述べたように、従前の日銀からの情報発信を踏まえれば、マイナス金利解除は2024年中には考えにくい選択肢だった。しかし、今回のインタビューを踏まえ、リスクシナリオとして検討する価値は出てきたと考える。

マイナス金利解除が実施される場合、最も可能性が高いのは2024年4月、その次に2024年1月と想定したい。

植田総裁が「年末」に材料が出揃うと言っている以上、翌月となる2024年1月会合でその材料を盾に決断する可能性はある。しかし、多くの識者が想定する通り、マイナス金利解除のための必要条件はあくまで「2年連続で春闘の結果が力強いものになること」である。だとしたら、2024年4月までその決断を待つのが最も合理的な予想になる。

次ページドル円見通しはどう変わる
関連記事
トピックボードAD
マーケットの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT