歴史問題は「安倍談話」で終わるわけではない 韓国が満足する談話であっても問題は続く

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5月14日、安保関連法案を閣議決定後、記者会見をする安倍首相(写真:AP/アフロ)

安倍首相の外交・安全保障政策を、米国の日本専門家はどのようにみているのだろうか。今回、話を聞くのはトビアス・ハリス氏。同氏はブランディズ大学で学士号、ケンブリッジ大学で国際関係学博士号を取得。現在、ワシントンのテネコ・インテリジェンスで日本専門家として研究活動を行っている。

日本政治を独自分析するブログサイトObserving Japanの創設者で、日本の政治・外交・経済政策について多くの著作がある。CNBCで解説なども行っている。2011~2012年東京大学社会科学研究所でフルブライト奨学生として日本の官僚制度を研究した。また、2006~2007年浅尾慶一郎参議院議員(当時は民主党影の内閣の外務大臣)のスタッフとして外交政策、日米関係を研究したことがある。

南シナ海での中国の動きが米国政府の態度を変えた

――安倍晋三首相の今回の訪米についての米政府の対応をどう見ていますか。米政府は安倍首相が靖国神社を参詣した時の怒りをまるで忘れてしまったかのように思えます。

その間、いくつか重要な事態の進展があった。南シナ海で中国の動きが活発化するようになったのはその一部だ。また、安倍政権が長期化しており、支持率は高いままだ。さらに、安倍政権は米政府が望むことをいくつかやっている。そして前任者たちより存在感がある。中国との緊張緩和にも前向きだ。靖国参拝を避けていることも、米政府の気持ちを寛容にさせている。

安倍首相はいくつかの点で高得点を得ようとしているが、その評価はすでに定まってもいる。彼や彼の周辺からは、時折、不都合なコメントが出てきかねない。第二次世界大戦に対する誠実な反省の念を8月の「安倍談話」で示すかどうかも誰にもわからない。

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