文部科学省は2023年9月1日、「高等学校教育の在り方ワーキンググループ」中間まとめを公表した。生徒が少ない地域での教育のあり方や、全日制・定時制・通信制のあり方、文理横断的な学びの推進について、委員でコンセンサス(一定の共通認識)の取れた喫緊課題への具体的方策を示している。

「令和の日本型学校教育」を高校に定着させるための議論

「高等学校教育の在り方ワーキンググループ」では、高校に「令和の日本型学校教育」を構築させるため、多様性と共通性の観点から高校教育のあり方について大学教授や教育関係者9回にわたって議論した。

主なテーマは①少子化が加速する地域における教育のあり方、②全日制・定時制・通信制の望ましいあり方、③社会に開かれた教育課程の実現、探究・文理横断・実践的な学びの推進など。

今回、委員間でコンセンサスが得られ、速やかに取り組むべきものについて、中間まとめで具体的方策を提示した。

小規模高校には教師に代わる職員配置も

①では、中山間地域や離島などに立地し教師の常時配置が困難な小規模高校について、教師に代えて職員を配置することを可能とすることを提言。

遠隔授業や通信教育を可能にする配信センターの整備を国が支援するほか、特定の科目履修のため国内の他校に留学する必要のある生徒のために、オンデマンド型の通信教育で代えられるよう制度改正を訴えた。

遠隔授業や通信教育で不登校生徒の出席要件緩和を

②では、全日制・定時制の高校において、合計36単位の範囲内で不登校生徒が自宅などから同時双方向型の遠隔授業を受講可能とし、また、いわゆる不登校特例校の指定を受けなくてもオンデマンド型の通信教育を活用できるよう制度改正を提言。

遠隔授業や通信教育の活用で、不登校生徒の出席要件を緩和し、不登校になった中学生が安心して高校に進学できるよう、自宅などで学習した成果を成績に反映するよう促すことも掲げた。

通信制高校では、少ない登校回数で生徒が人間関係を構築できるようにするため、モデルとなる優良事例を創出・発信する。心理的・福祉的支援やキャリア支援のあり方に関する調査研究も展開する。さらに、不登校経験のある生徒が高校進学後の見通しを持てるよう、生徒に対する継続的な実態調査を実施するとした。

大学に対して入試出題科目の見直しを促す

③では、グローバル人材育成拠点校の整備など、国際的な教育を行う高校を国が整備する。専門高校は、産業界などとの連携と協働を強化する。

学力を多面的に評価するようなものに転換し、文理横断的な学びを進める観点から大学に対して入試の出題科目の見直しも促す。高校時点で大学の教育課程の先取り履修ができるようにすることも重要とした。

調査元:https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/091/toushin/mext_00021.html