小田急が牽引する「新宿西口再開発」の行方 南口の再開発にメド、焦点は西口へ移った

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小田急が2011年に富士重から取得した新宿スバルビル

新宿エリアは品川、渋谷とともに2012年に国の「特定都市再生緊急整備地域」に指定された。容積率や高さ制限が緩和されるため、自由度の高い都市計画を構築することができる。JR東日本が行う南口再開発は、この中に記載されている。

一方、新宿駅西口の再開発は記載されていないものの、小田急のスバルビル取得をきっかけに、再開発の可能性が取り沙汰されてきた。実際、小田急が毎年発表している経営概況資料を見ると、2011年の時点では「スバルビル買収で賃貸事業を拡充する」という内容だったが、2012年には「将来の大規模投資への備え」「新宿西口再開発等」という表現が見られるようになった。

2016年度中に計画決定か

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西口には小田急や京王、JRの改札が隣り合っている

そして4月30日、小田急がついに動き出した。2015年3月期決算と同時に発表した3カ年の中期経営計画(2015~2017年度)の中に「新宿西口における再開発計画の検討」が織り込まれたのだ。山木利満社長は「現在の3層構造の西口広場を進化させたい」と明言した。

詳細な内容は、「2016年度中に社内で計画をまとめたい」(山木社長)という。現在は、東京都、新宿区の担当者やJR東日本、京王電鉄、東京メトロなどの関係者と話し合っている段階だ。

再開発のスタートや完成の時期については「2020年に実行計画が動くという段階にはなっていない」(同)と、長期戦の構えを示す。現中期計画に再開発の投資は織り込んでいないため、再開発計画が具体的に動き出すのは、現在進めている世田谷代田―東北沢間の複々線化が完了する2018年以降になるとみられる。

小田急の新宿西口再開発に期待を寄せる声は大きい。「新宿駅西口はその先にある超高層ビル街の玄関口だけに、魅力ある整備を行うことは極めて重要」と、都市開発に詳しい市川宏雄・明治大学専門職大学院長は指摘する。

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