湾岸タワーマンションの高騰がまだ続く理由 6000万円超の売れ筋物件を買い求める人たち

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写真中央が「ドゥ・トゥール」(撮影:今井 康一)

ここ数カ月、湾岸タワーマンションの価格の牽引役となっているのが、冒頭のドゥ・トゥールだ。ドゥ・トゥールの立地は、都営大江戸線・勝どき駅から徒歩9分とさほどよくないものの、この欠点をカバーするため、JR新橋駅とマンションを往復する住人専用シャトルバスを走らせる。さらに、共用設備にサウナ付きのスパやバーを設けたり、ホテルを彷彿とさせる天井高10メートルのエントランスホールを用意したりと、ラグジュアリー感を全面的に打ち出した。

当初は平均坪単価300万円台前半で売り出したが、5月下旬から始まる第3期販売では、中低層階でも坪380万円強で売る住戸が出てきそうだ。
ドゥ・トゥールに引っ張られ、他物件も価格の改定に動き始めた。2棟建てのザ・パークハウス晴海タワーズ(駅徒歩12~13分)は、2013年竣工の1棟目「クロノレジデンス」より1割近く高い、平均坪単価300万円弱で2棟目の「ティアロレジデンス」を販売中。その隣に建設予定のパークタワー晴海は、駅徒歩12分の立地にもかかわらず、「坪300万円で売りたい」(販売を担当する三井の関係者)とかなり強気だ。

パークタワー晴海の企画にはオリエンタルランドが参画。「イマジネーションランド」と銘打つ約1万9000平方メートルの広大な敷地を5つのゾーンに分け、「妖精の小路」や「冒険の森」、「くじらテラス」と名付けたエリアを設けることで、他物件との違いを打ち出そうとしている。

低金利がかろうじて実需を下支え

中古物件価格にも波及している(写真:ziggy / PIXTA)

湾岸タワーマンションの主な買い手は、世帯年収1000万円を超える高給サラリーマン世帯だ。上がり基調にあるとはいえ、中心価格帯は6000万円半ば~7000万円台。港区や世田谷区など都心高級マンションのファミリータイプが優に1億円を超えることを考えれば、湾岸タワーマンションはまだ手が届く買い物だと言える。

低金利も、実需を後押ししている。長期固定金利の住宅ローン、フラット35の金利は、直近のピークだった2009年には3%を記録したが、以来、低下を続けている。返済期間35年以下(融資率9割以下)の最低金利は今年2月に1.37%と過去最低を更新。5月も前月より0.08%低い1.46%だった。

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