「4度目のうつ病だった」水道橋博士が明かした苦悩 国会議員を辞職した彼が今後に考えていること

拡大
縮小

回復の兆しが見えてきたのは、休職から3カ月近くたったころ。近所の温水プールに通い始め、同時に復帰に向けて準備に着手している。今年7月のYouTube再開を皮切りに、8月18日の誕生日には恒例の『誕生祭』を開催。会場は高円寺のライブハウスで、生配信も行った。

「昨年の誕生祭のときは、“国会議員になったぞ!”といって大騒ぎしていました。まさか自分が議員になるなんて思ってもみませんでした。そこからうつ病になって、辞職して、失職して、今年の誕生日はうつヌケ帰還兵──。山あり谷ありで、こんな人生になるとは(笑)」

生き恥だと覚悟している

れいわ新選組の参議院議員として初登院。世間からも大いに注目された(本人インスタグラムより)

無事復帰は果たしたものの、手放しで喜んでばかりもいられない。「何をもって寛解というか」と自身が言うとおり、うつ病は再発しやすく、事実これまで何度も再発を経験してきた。

うつ病になりやすいのはきまじめで責任感が強い完璧主義者といわれるが、そこにもぴたりとあてはまる。その自覚はやはりあるようで、「植木等の無責任サラリーマンみたいに“そのうちなんとかなるだろう”なんて言える性格だったらいいんですけどね」と苦笑する。

仕事のオファーも徐々に舞い込み始めたが、「まずは健康に留意しながら、頂いた話に1つひとつきっちり取り組んでいく。それを肝に銘じて誠実にやっていこうと思います」と水道橋博士。そこには芸人としての覚悟がある。

「芸能人という仕事は人目にさらされている。うつ病を公表したとき、自分のことを誰も知らない場所に行きたいと思った。でも生き恥をさらしてでも生きていくのが芸人の仕事。人はうつ病を発症した人間だという目で自分のことを見るでしょうけど、これも生き恥だと覚悟しています。

国会議員でうつ病を公表して辞めた人なんていないけど、そこで人生終わりではなく、またこうして社会と関わっているんだという姿を見せる。それを今、床から立ち上がれない人がテレビで見ているかもしれないし、その人がまた立ち上がれるんだという“希望”でありたい。

自分の生きざまが誰かにとって1つの励みになればと思っています。いや“うつ病=生き恥”なんてネガティブな言葉をあえて使いましたが、精神的な病も社会の日常の1つとして気軽に再起を受け入れられるようになってほしいです」

取材・文/小野寺悦子  写真提供/水道橋博士

関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT