「4度目のうつ病だった」水道橋博士が明かした苦悩 国会議員を辞職した彼が今後に考えていること

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論理的な思考はできず、話もできず、布団から起き上がることすら難しい。うつ病に罹患したときの症状を「コンピューターのOSがバンと落ちた状態」だと表現する。

「完全なブラックアウトで何も機能しなくなる。OSがまったく動かない状態です。脳が働かなくなって、喜怒哀楽はなくなり、すべての気力が失われてしまう。風呂にも入れないし、お腹も減らず、気づけば夜になっている。食事をする気力もなくて、10kgくらいやせました。そこからまた15kg太りましたけど(笑)

休職中は家にこもり、ひたすらテレビやYouTubeを見て過ごす日々。そこでも政治関係の話題には触れないよう気をつけていたという。

自分を責めますからね。これは本来自分がすべきことだったと思ってしまう。うつ病患者の多くがそうですが、無限連鎖の妄想をするんです。悪い未来ばかり想像しては、何時間もずっと考え続ける。それが本当につらくて、精神的にも肉体的にも疲弊していく」

誰しもに起こりうる病気

昨年立候補を決め、あちこちに街頭演説など忙しく駆け回った(本人インスタグラムより)

助けになったのは家族の支え。妻は夫の代わりに働き、並行して臨床心理士の勉強を始めた。そこで得た最新の知見を持ち寄り、「もう仕事はしなくていいから。もう十分働いたよ」と言っては夫をなぐさめた。

さらに3人の子どもたちには「誰しも起こりうる病気」と伝え、子どもたちも理解を示した。

「妻は決して過剰に接することなく、それでいてきちんと見ていてくれた。本当に妻はよくやってくれたなと思います」と感謝の念を口にする。

うつ病患者にどう接したらいいか。それは難しい問題で、ときに家族や周囲の人間を悩ませる。実際うつを公表した水道橋博士に対し、友人知人は遠巻きに見守り、腫れ物に触るように接していた。

「でもそういうものですよね。もし逆の立場だったら、やっぱりどう声をかけたらいいかわからないと思うから」

しかし師匠のビートたけしは違った。休業を発表すると、“とにかく一度顔を出せ”と呼び出しがあった。

「あわせる顔もないです、と最初はお断りしたんですけど……。師匠の別荘に行って、ほかの弟子たちと笑い話ばかりしていました。笑い話に始まり、笑い話に終わって、“じゃあ!”という感じ。病気の話はいっさいしませんでした。それも師匠らしいというか」

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