「円安の終わりはアメリカ次第」という思い込み 円より安いのはロシア・トルコ・アルゼンチン

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なお、あくまで杞憂に過ぎないものだが、一応紹介しておきたい論点がある。

年初来で円よりも下落幅が大きかったロシアルーブル、トルコリラ、アルゼンチンペソはいずれも高インフレで購買力が毀損している通貨の代表格である。それは恐らく為替に詳しくない読者でも知っているのではないか。

日本のインフレは米欧に近づいてきた

日本がその仲間に入っているとは思わないが、現時点で消費者物価指数(CPI)の上昇率はアメリカを上回り(ユーロ圏にも肉薄し)、それでもマイナス金利を堅持する方針を示していることが、インフレ抑制という観点から不安を抱かせ、円売りにつながっているという説は一応筋が通っている。

特に日本の事情がよくわからない海外市場参加者からすれば腹落ちしやすいテーマだろう。

ジャクソンホール経済シンポジウムの日米欧中銀総裁の言動を見る限り、「タカ派の欧米 vs. ハト派の日本」という構図は今後1年で簡単に変わりそうにない。とすれば、「日本はインフレを制御できるのか」が海外市場を中心としてにわかにテーマ視されるような展開には構えておきたい。

もちろん、今はまだ話半分以下でよく、リスクシナリオとしてもマイナーな部類だが、頭の片隅には置いておきたい論点である。

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