また見たい「最上川の車窓」、山形ご当地鉄道事情 長期運休路線も…ローカル線で旅する名作の地

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もちろん、いまでは山形新幹線が通り、東京から2時間30分ほどで結ばれている。山形新幹線は山形県内においても米沢・山形・天童・村山・大石田・新庄といった内陸部の主要都市をつなぐ。

山形新幹線「つばさ」
山形新幹線「つばさ」はE3系のみだが、2024年度に新型E8系が登場(撮影:鼠入昌史)

まあ本来、山形新幹線は新幹線といいつつも実態は在来の奥羽本線に新幹線列車が直通運転をしているというだけのこと。だから、東北地方の大幹線の1つである奥羽本線が山形の主要都市を結んでいるのも当然のことである。そして山形県の鉄道ネットワークは、この東京直結、山形新幹線・奥羽本線を軸として形作られているといっていい。

山形新幹線・奥羽本線は、福島駅から奥羽山脈を越えて、まず米沢盆地に入る。江戸時代には上杉氏が治めた城下町で、米沢牛もよく知られるところ。

明治時代にこの地を旅したイギリス人旅行家のイザベラ・バードは、米沢盆地をして「東洋のアルカディア」と評したという。なかなか過大評価にも感じられるが、最上川の上流域で周囲を朝日山地や奥羽山脈に囲まれたこの盆地は、確かにほかの盆地とは違う空気を持っている。

新潟県へ抜ける路線

その米沢盆地には、山形新幹線・奥羽本線以外にも2つの鉄道路線が通っている。1つは、JR米坂線だ。米坂線はその名の通り米沢駅と坂町駅を結んでいるローカル線。朝日山地に分け入って日本海沿いを目指し、小国―越後金丸間で県境を跨いで新潟県に入る。

終点の坂町駅では、日本海縦貫線の羽越本線と結んでいる。地図を見れば一目瞭然、冬場になると豪雪の中に埋もれる路線だが、2022年夏の豪雨災害で運休が続く区間がある。存廃を巡る今後の動向も気になるローカル線の1つだ。

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