「頭がいい人」がこっそり実践、独学の3つのコツ 勉強を始める前に環境を整えるのが大事だ

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NHKの番組で呼吸法の指導をしたとき、呼吸法をする前としたあとで、それぞれ参加者に計算問題を解いてもらいました。すると、呼吸法を実践したあとのほうが、明らかに成績が上昇したのです。なぜだと思いますか? 

ストローで息を吐くように、フーッとゆっくり息を吐ききることで、脳の中でざわついていた考えや気持ちもいったん静まります。たとえ外がざわついていても自分だけは集中している状態になれるのです。

以前、私は不定期で、小学生を200人ほど集めて塾を開いていたことがあります。200人もいるわけですから、当然、子どもたちは落ち着きがなく、ざわざわバタバタしていて勉強どころではありませんでした。

そこで、「ゆっくり息を吸って吐いて」「はい、もう1回吸ってフーッとゆっくり吐いてね」と大きな声で呼びかけ、呼吸法を繰り返してもらいました。すると会場がシーンと静まり返って、みんな集中できる空気に包まれていったのです。

何事においても「構え」が必要

シェイクスピアやドストエフスキーを声に出して読む授業だったのですが、みんな落ち着いてしっかりと読み上げることができました。

最近はマスクなどで呼吸が浅くなりがちなので、大きく息を吸って吐いて、換気する必要があります。息を新しく入れて心を整えるのが、構えづくりの基本です。

日本には、剣道や合気道などの武道から、茶道、華道などの芸道まで、さまざまな「道」がつく習いごとがあります。武道や芸道でも、「心の構え」をそれぞれの「道」における学びで重視していて、心を整えるためには息を整える必要があると考えています。

座禅の心得にも、「調身、調息、調心」という言葉があります。姿勢を整える「調身」。息を整える「調息」。心を整える「調心」。この3つが整ってはじめて座禅に向かう「構え」ができるわけですね。

何事においても「構え」が必要で、いきなり集中できるわけではありません。特に、インターネットありきで生活している私たちは、情報の海の中で常に犬かきをしているような状態です。犬かきの様子を思い浮かべていただきたいのですが、非常に慌ただしく脚を動かさなければ溺れてしまいますよね。

私たちの脳はそれほど忙しく情報を処理しながら生活しているので、それだけ疲れが溜まっています。その状態から、いきなりひとつのことに集中しなさいと言われても、犬かきをすぐ止めることはできません。

ですから、いったん区切る作業が必要なのです。

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