外資企業におけるトラブル解決のキーマンは誰か?--グローバル時代の企業法務

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外資企業におけるトラブル解決のキーマンは誰か?--グローバル時代の企業法務

甚大な被害を出した3.11東日本大震災だが、すぐに諸外国の救援部隊が馳せ参じ、外国人医師団も駆けつけたが、日本の医師免許がないという理由で最初は受け入れられなかった(だいぶ経ってから日本は医療行為を認めた)。

国が違えば法律や資格が異なるのは当然のことだが、今やヒト・モノ・サービスがグローバル化している。グローバル企業における企業法務において、現実に即したルールづくりが求められている。

欧米企業のリポーティング・ライン原則

福島第一原発事故は首都圏にオフィスを構える外資企業にも多大なる混乱をもたらした。原発事故の恐怖から逃れるように、オフィスと当面の住居を西日本エリアに緊急避難する旨を本国に通達した外資企業も少なくなかった。

中には日本人従業員に対して一時的な自宅待機を言い渡すケースもあった。納得のいく説明と雇用継続を社長に直訴する従業員もいたが、応対した社長からはっきりとした言質は得られるはずもなかった。

欧米企業にはリポーティング・ライン(報告経路)の原則がある。外資企業における従業員への対応は主に人事部が担当するが、その報告・相談相手は日本法人社長ではなく、親会社(外国の本社)の人事担当責任者だ。欧米の会社組織は戦略実行の目的のために設計されており、指揮命令系統が明確にされている。社長といえども、それを無視して口出しできない。

実は、外資企業が日本で成功するには、日本人従業員と駐在する外国人幹部との間のトラブルを上手に処理できるグローバル人材がいるかどうかがポイントとなる。言語(日本語と外国語)だけでなく、両国の法律、ビジネス慣習、社会事情などを熟知していなければ、親会社(外国の本社)に報告や相談もできないし、解決の糸口さえ見つけることができない。

法務・ビジネスのコンサルタントの出番

アップルやGM(ゼネラル・モーターズ)の日本法人で勤務経験もあるティモシー・ラングレー氏は、「日米の事情に通じているキーマンがいない会社はいつも裁判が絶えません」と言う。

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