「ストレスに強くなりたい」という願いの大問題 耐えるより、いったん凹んで回復することが重要

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「失敗」か「成功」の0/100思考に陥らない。失敗をフィードバックして、とにかく「経験」に変えていく。そうすれば、失敗はストレスにはなりません。

対処法③事実と感情を分ける

とはいえ、失敗したときにフィードバックできない人がほとんどです。なぜでしょう? それは、「やっちまった」「自分はサイテー」といったネガティブ感情に支配されてしまうからです。事実と感情が渾然一体となり、出来事を客観的に振り返ることができないからです。

仕事でミスをした。上司に怒られた。上司のバカヤロー! 仕事であなたが何某かのミスをしたこと。上司がそれをあなたに指摘したことは、事実です。上司に対する憤り「上司のバカヤロー!」はあなたの感情。「自分は何てダメなんだ」という気持ちも、単なる感情です。

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事実と感情を分けないと、客観的に物事を見られないし、フィードバックもできません。事実と感情を分けるためには、ノートに文章で書き出してみるといいです。頭の中で考えると、ワーキングメモリ(脳の作業領域)には、限界があるので、必ず堂々めぐりしてしまいます。文章で書き出す、アウトプットする。ノートに書かれた文章を読み直せば、誰でも客観的に出来事を振り返ることができます。

ストレスに直面したら、我慢する必要はありません。それをアウトプットして流して行ければいいのです。感情のアウトプット、「ガス抜き」効果で、気分は必ず楽になります。

アウトプットは、「ストレスを流す」トレーニングとも言えます。インプット、アウトプット、フィードバックを繰り返すことで、人は成長して、ストレスを受け流すことができます。その結果、レジリエンスを高めることができるのです。

樺沢 紫苑 精神科医、作家

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かばさわ しおん / Shion Kabasawa

1965年、札幌生まれ。1991年、札幌医科大学医学部卒。2004年からシカゴの イリノイ大学に3年間留学。帰国後、樺沢心理学研究所を設立。SNS、メールマガジン、YouTubeなどで累計40万人以上に、精神医学や心理学、脳科学の知識・情報をわかりやすく伝え、「日本一、情報発信する医師」として活動している。『学びを結果に変える アウトプット大全』(サンクチュアリ出版)、『読んだら忘れない読書術』(サンマーク出版)、『脳のパフォーマンスを最大まで引き出す 神・時間術』(大和書房)など著書多数。

 

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