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中国と分断を図るのではなく「関与」こそ必要だ 「有事」危機を軟着陸させるために汗をかけ

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「台湾有事」を防ぐため、日本は分断を図るのではなく関与が必要だ

元外務審議官の田中均氏
田中 均(たなか・ひとし)/元外務審議官。1947年生まれ。69年京都大学法学部卒業後、外務省入省。北米局審議官などを経て2000年に経済局長、01年アジア大洋州局長。02年から外務審議官(政務)を務め05年に退官。10〜22年日本総合研究所国際戦略研究所理事長、現在は特別顧問。(撮影:梅谷秀司)

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台湾海峡の緊張が高まっている。中国が台湾統一(併合)に向けて武力侵攻する日がくるのか。7月31日発売『週刊東洋経済』の特集「台湾リスク」では、日本企業に迫り来る台湾有事の全シナリオを示した。
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──台湾有事が叫ばれています。

台湾有事への懸念は、別に今に始まったわけではない。1970年代、米国は中国と国交を正常化する一方で台湾関係法を成立させた。台湾の防衛に関与するとしつつ、いざというときには「とるべき適切な行動決定」をすると、あいまいな表現にした。中国には軍事行動を起こさぬよう、そして台湾には独立を言わぬよう、双方にメッセージを送った格好だ。

この状態は当時から変わっていないのに、なぜ今台湾有事か。ウクライナ戦争が始まって以降、東アジアでも同じことが起こるかもしれないと親台、右派政治家を中心に問題提起するようになった。

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