自動車のテスラが放つ、新エネルギーの成否 なぜ電気自動車からエネルギー分野へ?
「エネルギーのテスラ」になる?
安倍晋三首相がシリコンバレーのテスラモーターズ本社を訪れた4月30日夕刻、イーロン・マスクCEOは自らモデルSのハンドルを握って、助手席に座る安倍首相に急速に加速可能な電気自動車の試乗体験を提供した。
「ジェットコースターに乗ったようだ」と感想を述べた安倍首相のテスラ滞在は、25分足らず。シリコンバレー訪問で「変化のスピードについていくこと」の重要さを実感したと語った首相だが、何とテスラがその日のうちにエネルギー会社へと変身を遂げる第一歩を踏み出すことになると知っていただろうか。
安倍首相を笑顔で送り出した後、マスクCEOはロサンゼルス近郊へ飛び、テスラの新製品を発表した。ただし、この新製品は自動車ではない。家庭用、および業務用の「蓄電池」だ。
プレゼンテーションの壇上に立ったマスクCEOが最初に訴えたのは、「われわれには、何もしなくても大量の電力を供給してくれる、太陽という発電機があります」という内容だ。太陽光を無駄なく安価に利用する方法さえ見つかれば、太陽を発電機にすることが本当に可能になる。
今回の蓄電池は、化石燃料を利用する電力グリッドに縛られた現在から、持続可能なエネルギー時代へシフトするために欠けている要素を補うもの。この新製品でできるのは、蓄電することだけでなく、ピークタイムの電力利用を安くし、家庭や業務での太陽光発電を利用しやすくすること。これが成功すれば、既存の電力グリッドにまったく頼らないエネルギー生活も可能になる。それを後押しするのは、テスラが電気自動車の開発で推し進めてきた効率的なリチウムイオン電池の生産だ。
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