自動車のテスラが放つ、新エネルギーの成否 なぜ電気自動車からエネルギー分野へ?

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さて、家庭用に発表された蓄電池「パワー・ウォール」は壁掛け型で、テスラの自動車にも倣ったスマートなデザイン。幅86センチ、高さ130センチ、厚み18センチで、重さは100キロ。これが2モデルで発売される。

3000ドル前後という、予想を大幅に下回る価格

バックアップ電力を蓄電できる容量10キロワット時のモデルは、価格が3500ドル。一般家庭での連続的な利用が可能な容量7キロワット時のモデルは、3000ドル。いずれの製品も、アナリストらが2万ドル程度と予測していたのに比べても驚くほどの安さ。ソーラーパネルの価格がどんどん下落しているのと併せて、消費者に「元が取れる」と説得させられる範疇に入ってきている。

パワー・ウォールは9個まで連結設置が可能という。色も赤やグレーなど数色で発売される。発表と同時に予約を受付け、出荷は3〜4カ月後という。

一方、業務用「パワー・パック」は据え置き型で、容量1ギガワット時。こちらは無限にスケーラブル(拡張可能)で、これが1億6000個あればアメリカ全土を持続可能な発電に変えられるという。

マスクCEOのビジョンは、アメリカだけに限らない。パワー・パックが世界で20億個あれば、世界の交通、発電、暖房などに要する電力をすべて賄えると主張。「20億個などと、とんでもない数字を持ち出したと思われるかもしれません。けれども、今地球上には20億台の車が走っている。20億台は、われわれが成し遂げた数字なのです」と、実現可能性を強調した。

テスラ社のギガファクトリー(同社HPより)

テスラは、いずれパワー・ウォールなどをギガ・ファクトリーで製造する予定だが、そのギガ・ファクトリーやパワー・ウォールの技術はオープンソースにして、他社にも持続可能なエネルギーへの参加を呼びかける。

パナソニックなどとも提携して、現在ネバダ州で建設が進むリチウムイオン電池製造工場ギガ・ファクトリーは、それ自体がソーラーパネルで覆われた巨大電池のような建物だ。マスクCEOは「テスラの製品のような場所」と説明する。電池技術を足がかりに、エネルギー会社へ変革するテスラを象徴する場所にも見える。

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