早くも暗雲「札幌ドーム」やっぱり"甘かった試算" 建設から「20年以上」が経過し、老巧化も激しい

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「ドームは音響が良くなく、スタンドからの距離もあって見づらい。4~5万人集める全国ドームツアーの1カ所という付加価値があったから、これまで利用していたアーティストもいました。2万人以下の新モードを利用する必然性はない」(音楽業界関係者)

道内には北海きたえーるなど、1~2万規模の箱は他にも存在する。「規模を小さくして使用してもらう」というドーム側の思惑はこれまでのところ、外れてしまったように思える。一方で、皮肉にもドームでの4~5万人規模の通常モード利用は4件決まっているという。

「どこを改善すれば、どういう風に使っていただけるのかということをしっかりやって行く期間なんじゃないか」(札幌市長・秋元克弘氏)

札幌市民は日本ハムの新球場移転が決まって以来、長らくドームの将来を心配していたが、このタイミングでの悲壮感なきコメントが、各方面で心配や怒りを増長させている。

ドームは状況改善に取り組んでいるが…

「ドーム側も動いてはいる。サッカーJリーグのコンサドーレとの関係強化、高校野球の秋季大会の誘致、敷地の有効活用など、今までは考えられない努力をしている。しかしプロ野球の影響力には及ばない。広告看板を含め、お金が流出している」(スポーツマーケティング関連会社関係者)

プロではないが高校野球については、秋季大会の準決勝、決勝の開催地に決定。また、敷地内にスケートボード練習場を設置するなど、多くの市民が利用できるように変化しつつある。しかし日本ハムがもたらした経済効果には到底及ばないのが現実だ。

「ネーミングライツ(施設命名権)売却も進行がない。日本ハム使用時代は場内にびっしりだった広告看板も、サッカーでは映像への映り込みも限られ撤退が相次いでいる。当初想定していた収入を下回っており、約3億円とした年間赤字額が増えるのは確実ではないか」(大手広告代理店関係者)

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