「古民家購入→自分で改装」した外国人が見た現実 外国人が憧れる家は、日本人は買わない?

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2018年に京都にもう一軒(当時の物価がまだ手頃だったので)家を買うことにして、そこでもこの友人に改装を依頼しました。この家はゲストハウスとして使われていたもので、家具はとても安っぽいものでした。この家はすべての床と、壁紙を変える必要があり、バスルーム、トイレ、キッチンも変えました。

京都の古民家のリビングは大胆に葛飾北斎風の浮世絵を壁紙にした(写真:筆者撮影)

3つ目のプロジェクトは、最も困難なものでした。京都の郊外にある完全な廃墟を200万円で購入し、ポーランド人の友人がその廃墟に3カ月ほど住み込み、素敵な小さな場所に変身させました。

古民家を購入する時の注意点

確かに日本では古民家は非常に安いものが多いので、ローンは必ずしも必要ではないかもしれません。木造の場合、安定性に欠けていたり、木が腐ってしまっていたり、とんでもない動物が住んでいたりすると問題になることがあるので、購入前に専門家にチェックしてもらうことをお勧めします。木製のフレームがカビていたり、虫がいたりする家を買うと、本当に困ったことになります。

古い木造住宅は、車が通れないような小さな裏通りに建っていることがよくあります。このため、家を壊して同じ大きさに建て替えることはできません。つまり、これらの住宅は改装しかできず、取り壊すと、土地の一部が地域コミュニティに接収され、家の前の道路を広げなければなりません。このような情報は、通常、住宅の広告に記載されています。

もう1つの問題は、こうした古い木造の家の多くが地震に弱いということです。私が東京の家を買って間もなく、区の人が訪ねてきて、私の家は耐震性がほぼないと伝えてくれました。補強したい場合は、自治体が費用の75%まで負担してくれると言います。

ただ、この補助金を使っても、リフォーム費用はかなり高額。その担当者によると、同じ条件の住宅5000戸のうち、このリフォームに1000万円もかけられるのは1、2世帯しかないそう。

なので、家庭用住居を探すときは、まず家の安全性を確認することをお勧めします。万が一、安全でないことが判明した場合、家の壁をすべて補強しなければならないのですが、これには実に大きなコストがかかるのです。次回の原稿では、実際のリノベプロセスと、日本で「空き家ビジネス」が成り立つかをお伝えします。

パリッサ・ハギリアン 上智大学教授(国際教養学部)

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Parissa Haghirian

オーストリア・グラーツ生まれ。ウィーン大学日本学部卒業。ウィーン経済大学国際ビジネス学部で博士号取得。2004年に来日し、九州産業大学で国際ビジネスを教え始める。2006年、上智大学に准教授として着任。現在は、上智大学国際教養学部教授(国際経営・経済学コース)として、日本の経営学、クロスカルチャー、経営戦略などをテーマに研究・教育活動を続けている。

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