労務行政研究所が東日本大震災への企業対応を緊急調査

労務行政研究所が東日本大震災への企業対応を緊急調査

労務行政研究所が「東日本大震災への対応アンケート」を実施し、その結果を発表した。3月11日に発生した東日本大震災は、大きな被害をもたらし、その後の計画停電なども含め、企業の事業活動に多大な影響を与えている。また、人事労務管理面でも、休業時の賃金の支払いや見舞金の支給など、さまざまな問題が生じている。

震災による被害・影響を受けている企業は83.2%

震災による被害・影響受けた企業は83.2%。具体的には、「停電やガソリン不足等により,間接的な影響を受けている」が63.2%、「主要な仕入先・販売先が被災地にあり事業活動に影響を受けている」が52.3%、「被災地に事業所があり、直接的な被害を受けた」が46.7%である(複数回答)。規模が大きく、広域展開している企業ほど影響を受けている。

被災による休業日の賃金を「通常どおり全額支払う」が73.6%

被災により事業所を休業した日の賃金等の取り扱いについて尋ねた。この場合、労働基準法26条の「休業手当」の必要性が問題になるが、厚生労働省「東北地方太平洋沖地震に伴う労働基準法等に関するQ&A(第1版)」によると,地震で事業場の施設・設備が直接的な被害を受け労働者を休業させる場合は、休業手当の支払いは原則として不要とされている。

各企業の取り扱いをみると、「賃金を通常どおり全額支払う」が最も多く73.6%に上る。欠勤しても賃金を控除しない“完全月給制”の企業が少なくないこと、通常の休業では80%や90%支給とする企業でも、緊急時の対応として100%支給することとした企業があったことから、73.6%と比率が高くなったと見られる。

計画停電で休業した時間の賃金を「通常どおり支払う」が77.8%

厚生労働省の通達(平23. 3.15 基監発0315第1)によると、計画停電の時間帯の休業は、労基法26条の休業手当の支払いが原則として不要とされている。各企業の取り扱いをみると、「賃金を通常どおり全額支払う」が最も多く77.8%。

「計画停電による休業」の場合、1日に満たない時間単位であるため、たとえ数時間休業しても、その分は全額保障する企業があるため、77.8%と比率が高いと考えられる。

8割超の企業が災害見舞金を支給

「従来の規定に基づき支給した(する)」が51.2%、「従来の基準に上乗せして支給した(する)」が25.1%で、“上乗せ”する企業も4分の1に達する。「新たに災害見舞金制度を設けた(設ける)」(5.4%)と合わせると、支給企業は8割を超える。

支給水準は、全損失の場合、平均26.5万円。分布は「10万円台」が最も多く38.6%、以下「20万円台」が18.9%、「30万円台」が10.1%と続く。半損失の場合、平均15.5万円。分布は「5万~9万円台」が最も多く32.3%、以下「10万円台」が31.0%、「20万円台」が12.8%と続く。

地震発生日、帰宅困難者へ「社内施設の開放」が77.7%

地震が発生した3月11日には、主要な鉄道がほとんど止まるなど,公共交通機関の多くが利用できなくなり、首都圏では多くの帰宅困難者が出た。各企業の帰宅困難者への対応を尋ねたところ(複数回答)、最も多いのが「社内の施設・設備を開放・提供した」で77.7%、次いで「通常以外に要した(タクシー代など)交通費を全額支給した」が53.0%。

内定取り消しや解雇はゼロ

被災地の学生に配慮して、「採用活動を延期した」が24.4%。「春季交渉(賃上げ・賞与等)の回答を延期した」が12.4%、「定期人事異動を延期した」が10.7%など。「採用内定を取り消した」「操業停止となった事業所の従業員を解雇した」とする企業はなかった。

【調査概要】
調査対象:「労政時報クラブ」に登録しているる民間企業から抽出した人事労務担当者5574人
・調査期間:2011年3月28日~3月31日
・調査方法:WEB によるアンケート

(東洋経済HRオンライン編集長:田宮寛之)

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