「すぐ辞めてしまう」新卒社員が抱える2つの背景 活躍する人に共通するキャリア設計術とは

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昨今の企業は、従業員のエンゲージメント向上に力を入れており、新卒社員の受け入れについてもかつてないほど手厚い体制を整えています。

一方、若手社員もキャリアリテラシーが向上しており、早期離職のデメリットをよく理解しています。

それにもかかわらず、このような決断をする方が一定数いるのは、なぜなのでしょうか。若手社会人の皆さんからの相談を伺っていると、以下の2つのケースが多くみられます。

なぜ志向に合わない仕事を選んでしまうのか

1つは、「自分の志向と合わない仕事に就いてしまった」というケースです。誤解のないようにお伝えすると、就職活動をいい加減にしたということではありません。

現代の就職活動は、SNSやYouTube、口コミサイトなどの普及によって多くの情報を入手できます。以前よりも、熱心に取り組んでいる学生が大半と言ってよいでしょう。情報感度の高い学生は、2年生から面接対策や筆記試験の準備をするほどです。

では、いったい何が問題なのでしょう。本来、就職活動は、(1)自分がやりたいことを掴む、(2)それを実現できそうな企業群を見つける、(3)準備をしてから選考に臨む、という手順になります。

しかし、実態はそのようになっていません。就活が近づいてくると大学の先輩たちから、「このあたりの企業を受けるとよい」というアドバイスを受けるようになります。そのアドバイスの多くは、年収が高い、ブランドがあるといった観点が中心となっています。

本人がやりたいことを実現できるか否かといった観点とは異なります。残念ながら、日本の教育環境においては、キャリアデザインについて学ぶ機会がほとんどありません。社会経験の浅い先輩からのアドバイスが、年収やブランドを軸としてしまうのも致し方ないことです。

このように行われる就職活動では、まずは自分がやりたいことを掴むという、肝心なファーストステップが抜けています。これでは、人気企業へ入社はできたけれど、自分の望んでいた仕事とは異なっていたという事態が生じてもおかしくはありません。

実際に、内閣府が発表した「就労等に関する若者の意識」調査でも、初職の離職理由は「仕事が自分に合わなかったため」と答えた割合が43.3%と、最も高くなっています。

なお、日系大企業でよく見られる“総合職”として入社する場合、必ずしも希望の仕事に就くことが出来ないということがあります。自分がやりたいことを掴んだ後は、どの業界に入るかという視点だけでなく、どのような職種で入社し、どのようなキャリアとなるのかといったことをよく理解して選択することも大切です。

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