「器の小さい人」怒らせてみるとわかるという真実 なぜ"アホ"は怒り、成功者は感謝するのか?

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謝罪の後にも、関係が修復しなかったら、「きまずいときこそ、無理にでも話しかける」を実践してほしい。例えば、相手がそっけない態度を続けているとしたら、「ある人がほとんど口をきいてくれないのだが、どうしたらいいのか」と自分たちの間柄をそのまま相談してしまうのだ。

かなりの高等テクニックだが、相手が関係性を客観的に認識してくれれば、その後の行動を修正してくれる可能性が高くなる。

アホを「怒らせる」という反撃の一撃が、アホの対処法を探し出す糸口となるのだ。

威張るのがアホ、感謝するのが成功者

政界で威張らない人はほぼいなかった。意味もなくエラそうな人物に対して、不快に思う毎日だった。政治家が威張らなくなるのは、総裁選で議員票が欲しいときだけ。総裁選に出たいのに推薦人が足らない人が、いつものイキった感じからの手のひら返しで気持ち悪いくらい腰の低いストーカー電話を何度もかけてきたことは今でも忘れられない。普段威張っている人がこういうときだけネコナデ声を出すのは格好悪かった。

しかし、どの業界にも威張らない素敵な先輩はいる。日本の政界で威張らなかった人を私は2人知っている。

1人は直前の参議院のドン、故・吉田博美さんだ。いつも私の希望を聞いて美味しいお店を予約してくれ、いつも私より先について下座に必ず座っておられた。たまに先に行って下座に座って待っていると「何やってんの。僕とのときは、あんたは気を使っちゃいかんのよ」と本気で怒られた。そして「この世界にいると頭にくることばかりだろ。なんでも俺に言って。耕太郎ちゃんは絶対反抗しちゃだめだよ。僕が絶対背中を押して押し上げるから」と言ってくれ、本当にその嫌な人物と私のために対決してくれたのだ。

金丸信さんの秘書を長年務め、長野県議会議長までやられ、「国会議員になる気はまったくなかったのに仁義で断れなかった。僕には天下国家はないから国のためにできるのはあんたらやりたいことがある若手を応援することだわね」と言っていたことが忘れられない。

もう1人はあの菅義偉さんだ。政界では、手柄を全部持っていく先輩ばかりだったが、菅さんだけは違った。私がやりたい政策のために、頭を下げて議員を集めてくれ、議員連盟までつくり、閣僚経験あるご自身を事務局長にして私を会長にしてくれた。そして議連の勉強会には私などでは呼べない大物をご自身のつてで呼んでくれ、意義ある会にしてくださった。この議連で多くの取材を受けたときもつねに私を前に出してくれた。

第99代内閣総理大臣としてご自身が前に出ざるをえなくなったが、人を前面に立たせることを大事にする方であるという意味ではご本意ではなかったであろうと察する。菅さんと吉田さんだけは手柄を若手にくれ、陰に日向に何も依るところがない私たちを守ってくれた。

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