元Google人事が説く管理職がやりがちなNG行動 エンジニアの心理的安全性を下げる行動とは?

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NG3. 組織づくりを「手法」に頼っている

メンバーが気軽に相談しやすい環境をつくったり、心理状況を把握したりするために、小まめに1on1ミーティングを実施しているマネジャーは多いのではないでしょうか。

ですが、形式だけの1on1はむしろ逆効果になりかねません。

マネジャーがとくに理由もなく「ちょっと話そう」と声を掛けてきたら、不安になると思いませんか? 「何を言われるんだろう」「もしかして、パフォーマンスが悪いと思われているのかな」とよからぬ想像がめぐってしまうかもしれませんし、話したいことが話せなかったとなれば逆に不安が募るだけ。

そこで、1on1をなぜ実施するのか、どういうことをゴールにしているのか、ここでもマネジャーが自分の意志ではっきり伝えておくことが大事です。

1on1に限らず、手法は「目的」があってこそ意味を成すもの。

「何のための1on1で、どのようなコミュニケーションを取り、どうやってアウトプットしていくのか」が定義されていなければ、メンバーがネガティブなプレッシャーを与えかねず、心理的安全性が損なわれてしまいます。

NG4. メンバーの心理的ケアにばかり追われている

そもそもマネジャーは、エンジニアがフロー状態(夢中になってインパクトが出せる状態)に入れるように助ける役割を担っています。

しかし、マネジャーにできるのはあくまで職場の開発環境を整備したり、部署異動や配置換えなどを検討したりすること。エンジニア自身の内発的な動機まではコントロールできません

ですから、もしもあなたがメンバーの心理的安全性を高めようとするあまり、モチベーションコントロールや心理的なケアにばかり時間を割いているなら、一度アプローチを変えることをおすすめします。

本来、マネジャーの役割はプロジェクトを成功させることであり、「やる気がありません」というメンバーをなだめることでも、おだてることでもないからです。

実際、プロジェクトがうまく回り出すと、メンバーの気持ちも乗ってきやすくなるもの。まずはそうした環境づくりからアプローチできるといいですね。

成功の定義を明確にして、意欲を高める

──「心理的安全性の高め方」について、勘違いしてしまうポイントがわかってきました。「メンバーを肯定すること」で意欲を高めていこうと考えがちですが、それが正しいとは言えないのですね。

はい。繰り返しになりますが、心理的安全性には「建設的な意見の対立が推奨されること」が重要です。

間違った方向へ進んでいるのに、対立を恐れて「いいね」と肯定するのは健全な態度ではありません。プロジェクトだったとしたら、開発が進むにつれて大変なことになりかねませんよね。

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