株価急騰!日本人が「投資しないリスク」はあるか 日経平均株価が33年ぶり3万3000円台回復

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そもそも、日本人の多くは投資のリスクをとっていないように思っている人が多い。しかし、実際はさまざまなところで投資のリスクを強いられている。たとえば、年金生活者は年金の積立金を管理している「年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)」が、これまで国民が積み立ててきた資金を国内外の株式市場や債券市場に投資しており、もしいま世界の株式市場が大暴落すれば、日本の年金資金もあっという間に大きく目減りしてしまう。

その投資比率は厚生労働大臣の指示による中期計画で決まっており、現在は国内債券、外国債券、国内株式、外国株式をそれぞれ4分の1ずつに分散して運用している。自分たちの年金資金の半分は海外の投資商品で運用されているのだ。とりわけ、価格変動の激しい外国株式に資産全体の25%を投資しており、加えて円高になると元本割れも起こす可能性のある「為替リスク」もある。

また、会社員の勤務先で「確定拠出型年金(DC)」を導入していれば、好むと好まざるとにかかわらず、賃金の一部をリスクのある金融商品で投資しているはずだ。確定拠出型年金は、退職金を自分で運用していくシステムで、いつの間にか日本人の多くは自分の退職金で運用のリスクを強いられている。

日本人の多くが預けている銀行も、さまざまな形で、海外の金融商品に投資を行っている。為替市場の変動にも大きく左右されるし、当然、アメリカの株式市場や債券市場にも左右される。1929年の大恐慌のような状況になれば、われわれの年金や銀行預金も危ういということだ。

現金や預貯金だけではなぜいけないのか?

コロナ後の経済の変動でわかったことがひとつある。日本もずっとデフレではなく、インフレになる可能性があることを皆が知ったことだ。ロシアによるウクライナ侵攻で急騰したエネルギー価格や食料価格の影響は、戦場に近い欧州を中心に、いまだにその勢いは止まっていない。

さらに、ロシアと中国を核とする「専制国家連合」とアメリカを中心とする「民主主義連合」との間に、大きな亀裂が生じている。仮に、ロシア・ウクライナ戦争が終結したとしても、その後もインフレは継続的に進行するのではないかと予想されている。

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