レクサスが小さな高級SUV「LBX」に込めた挑戦 オーダーメイドも導入し余裕ある富裕層へ訴求

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実はレクサス自身、かつて先代LSの時代にこうしたビスポークシステムを展開したことがあるが、そのときはあまりうまくはいかなかった。それが今回、あえてコンパクトSUVセグメントで再度、挑んできたわけだ。

このセグメントでは世界を見渡してもこうした選択が用意されることは珍しく、そうした世界を知る層に対しては大きなセリングポイントとなりそうである。

コンパクトカーをベースに豪華に着飾るのではなく、クルマとしての素性の部分からしっかりそれにふさわしいものとして作り上げ、デザインにしても仕立てにしても“コンパクトカーはこういうもの”というヒエラルキーから良い意味で逸脱する。

そうして、ラインナップの一番下に縮小コピーを増やすのではなく、ブランドの価値を違ったかたちで表現したLBX。サイズ含めてカジュアルな使い勝手を持ちながら、中身は本物という存在感に、ハイブランドのスニーカーという言葉、とてもしっくりくるなと感じられた。

アルファベット3文字車名に込めた意味

レクサスとしては実は「LFA」以来となるアルファベット3文字の車名LBXは、“Lexus Breakthrough X(cross)-over”を意味するという。おそらく、BXもAXもCXもDXも考えたに違いないが、往年のシトロエンとバッティングするというだけでなく、それこそヒエラルキーを感じさせて、あまりしっくりとはこない。ならば……ということで半ば強引に当てはめたと想像するが、案外その名は体を表していた。

道が狭いヨーロッパにはコンパクトな車体が合っている(写真:トヨタ自動車)

発表されたミラノのように道が狭く、路上駐車が中心だがスペースは常に争奪戦というヨーロッパでは、ずっと“コンパクトなレクサス”が熱望されていたという。もちろん、日本でもそうだろう。LSやLM、「LC」の隣に置かれてもしっくりきそうなLBXは、今秋以降の発売になる。

価格は現時点では未定。想像通り、開発コストがかかっており値付けはとても難しいと現地でレクサスインターナショナルの渡辺剛プレジデントは話していた。それだけにユーザーにとっては高いバリューを感じられるクルマになりそうだ。

島下 泰久 モータージャーナリスト

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しました・やすひさ / Yasuhisa Shimashita

1972年生まれ。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。走行性能からブランド論まで守備範囲は広い。著書に『間違いだらけのクルマ選び』(草思社)。

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