労働者が大増税時代に「見限るべき社長」の4特徴 「コスト削減」「安売り競争」の会社に未来はない

拡大
縮小

OECDの2019年のデータでは、日本の国民負担率は世界19位となっており、突出して高いわけではありません。しかし、負担率が年々上昇しているのは紛れもない事実で、2023年には46.8%まで上がっています。

特に注目すべきなのは、どの支出が増えているかです。1990年と比べると、2019年は負担率が8.4%ポイントも上がっていますが、そのうち8.1%ポイントが社会保険料の増加で、大半を占めているのです。

(出所)書籍『給料の上げ方』より

働く人の減少数は「イギリスの全生産年齢人口」に匹敵

この間、社会保険料が国民負担率の増大の原因となったのは、1995年から2021年の間に、生産年齢人口が1299万人も減ってしまったのに対して、高齢者人口が2141万人も増えたからです。

日本で減った1299万人というのは、オランダの全生産年齢人口を上回っているので、大変な数です。

実は同時期、生産年齢人口は大幅に減少しましたが、全体の就労者は増加しました。しかし、働いている人の数は増えても、労働者1人ひとりにかかる年金と医療費の負担は大きく増えています。

これから2060年にかけて、日本では生産年齢人口がさらに3000万人も減ると予想されています。先ほどの1299万人と合わせた約4300万人という減少数は、日本の生産年齢人口がピークだったときに比べて4割の減少で、イギリスやフランスの全生産年齢人口に匹敵し、韓国の3698万人を大幅に超える規模です。

生産年齢人口の大幅減少は、労働者が減るという労働市場で起きている1つの事象を説明するものですが、同時に経済にさまざまな悪影響を及ぼします。

最も懸念されるのが、納税者が減るので税収が減ってしまうことと、最も活発な消費行動を行う消費者が減るので、国内の需要が縮小してしまうことです。

次ページ私たちは、どう対処すればいいのか?
関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT